クリエイティブの力を結集し、快適な医療環境を創る。

病院を作ることを忘れ、本物のリゾートを作る。

これまで企業や商品のブランディングを中心に、さまざまなジャンルの仕事に取り組んできましたが、以前から医療の分野ではクリエイティブの力があまり活用されていないのでは、と感じていました。機会があれば、デザインの力で医療環境をよりよくする一端を担いたいとずっと考えており、今回、千里リハビリテーション病院において、その思いを実現させることができました。橋本理事長が「気づき」を重ねて目指していた病院は、僕が病院とはこうあって欲しいというビジョンと非常に近いもので、その共通の思いから生まれたのが、「リハビリテーション・リゾート」というコンセプトです。リゾートは、心や体を癒しに行く場所。脳卒中の急性期を脱し、日常生活に戻る中間にあり、社会復帰の準備として、自信や元気を取り戻すためのリハビリテーション病院には、このコンセプトがぴったりだと思いました。

そしてこのコンセプトを具現化するために、時代をリードするクリエイティブスタッフを集め、プロジェクトを統括していきました。全スタッフに最初に必ず伝えたのが、「一度病院をつくるということを忘れ、本物のリゾートを作ると思って欲しい」ということです。建築家の川島浩孝氏やランドスケープの忽那裕樹氏とビジョンの融合を図り、コンセプトの象徴となる暖炉や水槽などを設置するアイデアも実現しました。さらに「リハビリテーション・リゾート」には欠かせない精神的ケア~心のリハビリ~の実現のためにも注力しました。快適な「ホテル・クオリティ」のホスピタリティを創出するために中村貞裕氏にはアメニティのディレクション等を依頼し、幅允孝氏の提案より「ブックセラピー」という本によるリハビリの新たな可能性も発見できました。またこの病院の理念に共感し、滝沢直己氏が「白衣」の概念を変えるようなユニフォームをデザインしてくださいました。多くのスタッフのクリエイティビティの結集によって実現した千里リハビリテーション病院の快適な医療環境や独自のサービスが、病院やリハビリテーションの新しいビジョンの提示になればいいと願っています。

佐藤可士和

総合プロデューサー
佐藤可士和(さとう かしわ)

アートディレクター、クリエイティブディレクター

1965年東京生まれ。1989年多摩美術大学を卒業後、博報堂に入社。2000年同社を退職し、株式会社サムライを設立。SMAPのアートワーク、キリン極生の商品開発から広告キャンペーン、ファーストリテイリング、楽天グループ、明治学院大学のブランディング、NHK教育「えいごであそぼ」のアートディレクション、NTTドコモFOMA「N703iD」のプロダクトデザイン、ユニクロNYグローバル旗艦店のクリエイティブディレクション、国立新美術館のVIとサイン計画、郵政公社平成20年デザイン年賀状等、進化する視点と強力なビジュアル開発力によるトータルなクリエイションは多方面より高い評価を得ている。東京ADCグランプリ、毎日デザイン賞、亀倉雄策賞ほか受賞多数。明治学院大学客員教授。著書に「佐藤可士和の超整理術」(日本経済新聞出版社)。