ピアカウンセリング

一昨日、ギターリストの沖さんが病院を訪ねていらっしゃいました。退院後、数回、病院にいらしてミニライブを開催していただきました。いずれも私がいないときにお越しになられましたので、久しぶりにお元気なお顔を拝見できました。
沖さんは脳卒中によって重度の右片麻痺になられました。ギターを弾けるようになって施設を慰問したい、という強い希望をお持ちでしたが、医療者側の常識からすればそれはあり得ない無理な話になります。
でも、沖さんは諦めず、千里リハビリテーション病院のスタッフや川村義肢株式会社の義肢装具士と必死に取り組み、ライブを開けるレベルまで達成されたのです。
改めて拝見しますと、やはりいいお顔をなさっていますね。重い麻痺を持ちながら自己実現を成し得ていく人の姿は素晴らしいものですし、強い眼差しを感じます。そして上肢の動きも退院時よりもよくなっています。理由は自らの意思によって、麻痺側の手で集中的に何度も繰り返しギターを弾いていらっしゃるからに他なりません。
同じ障害を持つ人が同様の障害で悩む後輩や仲間の方々に影響を与えていく過程のひとつにピアカウンセリングpeer counselingというものがあります。Peerとは仲間という意味ですが、仲間への精神的サポートや情報提供などを通して社会参加を促していく影響過程になります。
沖さんの生き方は脳卒中に伴う障害と闘っていらっしゃる方々にとって正にプラスの影響過程になります。沖さんにはこれからも多くの方々と関わりをもっていただけることを期待したいと思います。

コメント (12)

  • senri より:

    Shunちゃん、Ryoちゃん、すてきなおじいちゃんでいてくれて、うれしいですね。
    これからもおじいちゃんをおうえんしてください。
    たくさんの人たちがおじいちゃんからパワーをもらっていますよ。

  • senri より:

    isaoさん、こんばんは。
    次は私もご一緒したいと思います。
    素晴らしい生き様を拝見できて、病院に関わる多くの人たちが魂を揺さぶられています。
    ありがとうございます。

  • Shun&Ryo より:

    おじいちゃん見たで。ギターの演奏頑張ったんやね。Shunより
    おじいちゃん病院でのミニライブ頑張ったみたいだね。おじいちゃん家に行ってもギター聞かせてね。Ryoより 

  • isao より:

    皆様からの暖かいコメントを多数頂きまして、誠にありがとうございます。
    昨日26日土曜日千里リハ病院にて、私の退院1周年記念のミニコンサートが
    開催されました。ギター片手に、家内と一緒にお伺いしました。午後2時から45分間
    私のギター伴奏で、青い山脈、高校3年生等合計7曲皆さんと一緒に歌いました。大変
    盛り上がりました。
    病院のスタッフの方々から、以前に比べてギターが大変上手になったと聞かされ大変嬉しく
    思いました。終了後、患者さんからお礼の手紙、合田さん(OT)から花束を頂き、
    感無量で涙が出そうになりました。ありがとうございます。
    今後ともリハビリはもちろんギターの練習にも励みます。今後ともよろしくお願いいたします。
    皆様もお体に気をつけて、頑張ってください。

  • senri より:

    kanazawaさん、こんばんは。
    ブログを覗いていただき、そしてコメントをいただき、ありがとうございます。
    私たちは何がよいのか、真にわかった答を準備している世界にはいないと思います。
    だからこそやるしかないのだと思います。
    わからないからしないのではなく、分からないからこそトライすべきだと思います。
    その中で見えてくる何かがある、と考えています。
    またお会いしましょう。

  • kanazawa より:

    吉尾先生こんばんわ.
    kanazawaのPTです.
    久しぶりにブログを拝見させていただきました.
    先生が徹夜で,思考を言語化していると聞き,
    「やろう,やろう,できる」と思いました.
    先日,装具の話を聞く機会がありました.
    自分にも好みの装具はありますが,どの装具がいいとか悪いではなく,体系だった知識と技術で,患者さんに装具を使ってもらえるように精進しようと思いました.
    また先生に会いにブログにお邪魔します.
    では失礼します.

  • senri より:

    eharaさん、おはようございます。
    コメントいただき、ありがとうございます。
    マズローの欲求階層説でいう生理的欲求や安全の欲求ばかり求めていてもこのような眼差しにはなりにくいと思います。いかにして自己実現の欲求を満たしていくか、どのように私たちがそれを支援していくか、とても考えさせられたおひとりでした。
    お隣の国際学園の女子高生たちの応援も素晴らしかったと思います。
    一旦火が付いたら沖さんの持ち前のパワーは凄いですから。
    学ぶことが多いですね。

  • ehara より:

    お久しぶりです。
    いつもブログを拝見しています。
    沖様の話は、何度かセミナーの中でお話を聞いたことがありますが、挑戦すること、またあきらめず挑戦し続けることの素晴らしさを感じますね。
     ブログに載っている沖様の写真も、自信に満ちている眼差しとともに、病気をされてからも充実した日々を過ごしているのだろうなぁと伝わってくる気がします。

  • senri より:

    asukaさん、こんばんは。
    お久しぶりです。
    沖さんのような存在は私たちに「大切なこととは何か」気づかせてくれますね。
    素敵な方にお会いできて感謝の気持ちでいっぱいです。

  • asuka より:

    おはようございます。
    沖さん、素敵ですね!!

    このような方を見る度に、私たちは患者さんの機能、能力の回復に留まらないこと。

    社会生活を営む人間として、その人の幸せにどのように貢献できるかに主眼をおいて
    リハビリを提供すること、の重要性を感じます。

    沖さんが退院後にさらに上肢の動きがよくなったのは、
    入院中の医療者の治療がよかった以上に、
    沖さんの強い眼差しの奥の意志がそうさせたのだと思います。

    そのような方の生き様はとても強いメッセージを発してくれますね。

    一人でも多くの沖さんが誕生するように、
    そのような方が多くの人と関われる環境を提供できるように、
    リハビリの目的が何かを見失わないようにしたいと思いました。

  • senri より:

    aisakuさん、こんばんは。
    ほんと、素晴らしいですよね。
    その姿勢に、ただただ感動、感謝です。

  • aisaku より:

    こんにちは。お久しぶりです。
    沖さん、ますますいいお顔になっていますね。充実感が伝わってきます。
    私たちも患者さまからたくさんのエネルギーをもらっています。そのエネルギーをどのように増幅していくかも一種のピアカウンセリングですね。
    沖さんの情熱を私たちの未来につなげさせていただきたいと思います。沖さんを見ていると、プラトーなんてあり得ないということを再認識することができますね。
    感謝です。

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