能登の鯖

先週の連休は能登半島の先端、珠洲に行ってきました。
しびこ会という学習会のグループがあります。しびこ(之比子)とは本鮪(之比)の子供。つまり本鮪のような存在の講師に教えを受けて、しびこである自分たちもいつか本鮪のように立派に育ちます、という意味合いを持っている仲間たちだと解釈しました。しかも皆様も私も本鮪のように泳ぎ続けるわけですね。
どうしてどうして、私自身、皆様からたくさんのヒントをいただきました。あの感性と行動力はただ者ではありません。とても個性的な人たちで結成されており、その一つ一つが集まればなかなかの迫力です。珠洲という地に偉大な力を感じました。
そうそう、彼たちは陸の上を泳ぎ続ける人たちでした。長距離のサイクリングをなさっていました。自転車はこぎ続けないと転びます。 Breakin'(ブレイクダンス) でhead spinを楽しんでいるスタッフもいましたし、確かに彼たちはマグロ族でした。
ちなみに、マグロ属はサバ科になります。
珠洲市飯田町に「龍泉」という日本料理のお店があります。京都で修業なさったという御主人の料理はとても素晴らしく、その極めつけはしめ鯖でした。能登の沖は北からのリマン海流と対馬海流が合流する海域です。そして富山湾は世界に誇れる漁場です。そこで獲れる鯖の味は言うに及ばず。その鯖を最高の腕前で調理していただきました。またまた出ました「サバダバダ」です。
今回のテーマは「脳のシステム障害の理解とアプローチ」ということでしたが、私たちの関わり方によっては脳卒中後の展開が180度も違う結果になることもあります。私たちは知識と技術を謙虚に重ねていかなければ、患者さんたちの期待に応えることはできません。しめ鯖を作る技術には確たる知識が背景にあるのです。
珠洲には珠洲焼という無釉の陶器があります。備前焼とよく似た鉄分をたくさん含む土で作りますから、作品もよく似ています。この陶器にしても同じです。平安・鎌倉時代に盛んだった珠洲のこの陶器を35年ほど前に復興されたのだそうですが、そこにも確かな知識と技術があったのです。
珠洲に行って、私たちのあるべき姿を改めて考えさせられました。

コメント (9)

  • senri より:

    makkyさん、こんにちは。コメント、ありがとうございます。
    このところ目先の仕事に追われていて、なかなかブログに手を出せていないのですが、また書きます。
    またコメントをいただけると嬉しいです。
    それぞれの社会環境はそれぞれの人間を輩出してくれますね。
    若者には若者の知識と良さがあります。言い方を変えれば私たちにはそれが不足していることになります。
    でも、いずれにしても人間ですから。
    きっと、共感しながら歩んでいける場所はありますよ。朝日でも夕日でも見ながら。
    よいお年をお迎えください。

  • makky より:

    吉尾先生お久しぶりです。
    写真からも鯖美味しく感じられます。
    京懐石にも鯖なんですね。
    先日忘年会でちょっと奮発して(私の提案なのですが)京懐石で行なったのですが、若者には白子や肝を下手物とか量が足りないなどと言ってまして、、、これからも連れていこうかと思います(笑)
    先生のコメントからも新人セラピストの知識は高い印象があります。
    新人セラピストは私の知らない知識がかなりあって、確かに焦ります。
    本当に追い抜かれるのではないかと思うぐらいで、僕も負けてはいられませんね。
    東海北陸理学療法学会(三重)の講演にも感激で、先生独自の講演介入でとても楽しく聴取できありがとうございました。
    ただ、最後の写真ではやはり夕日と答えてしまったのが残念です。

  • senri より:

    maimaiさん、こんばんは。
    私はmaimaiさんたちからのこのようなエールがエネルギーの源になります。
    きっとその向こうに患者さんたちがいらっしゃるはずですから。
    若者たちはそれにどう迫っていったらいいか分からずにもがき、ヒントをもらい、
    しっかりと患者さんと向き合おうとしています。
    最近、ちょっと変化を感じています。年配のセラピストたちが少しずつ動き始めています。
    それを動かしているのはきっと若者たちだろうと思います。
    私はサイクリングが大好きですよ。
    必死で、でも楽しく自転車をこいでまいりましょう。

  • maimai より:

    先生、こんにちわ。
    先生のご講演もさることながら、こうして皆さんが患者様のために!って熱く思いを持って日々仕事やスキルアップのために取り組まれていることを拝見するだけでも、十分力をいただけますね。
    先日、神経理学療法部会学術集会に参加して、今の若者は…という思いを持ってらっしゃる先生もいらっしゃいますが、まだまだ捨てたもんじゃない!という気持ちを私は持っています。
    いろんな考え方や手技、情報が得られやすくなった今、何をどう使ったらいいかわからず、見よう見まねで進めてしまっているのも確かです。でも、先生のように、基本といか、考え方のベースを教えていただいていると、自身の考えができてきます。もっともっと知りたいという気持ちがわいてきます。
    昨日、たまたまテレビで、『自転車は止まると倒れる 自転車が倒れないようにするためには、走り続けないといけない、僕の人生は自転車のようだ』、というアインシュタインの言葉が大好きだという方がいました。きっと、先生はそういうタイプなんですね。
    私も是非、その自転車の後ろに乗っかりたいところですが…自分でこいで、前に進んでいきたいと思います。
    こちらのブログは、みなさんから元気いただけますね!楽し~!

  • senri より:

    OKUSAさん、こんばんは。
    とてもとても熱いメッセージをお寄せいただき、ありがとうございます。
    あの日の皆様との交流が私の目に焼き付いています。
    そして皆様の自然な空気を醸し出す個性豊かなお人柄がまるで珠洲焼みたいで、とても印象的でした。
    また、皆様のチャレンジ精神は立派で、鮪のように泳ぎ続けていらっしゃいます。
    しびこ会とはよくお考えになったものだと思います。
    私も泳ぎ続けていないとダメなタイプではありますが、皆様の推進力には負けます。
    おかげさまで私もエネルギーをしっかりいただきましたので、これからもやりますよ。
    心から感謝、です。

  • OKUSA より:

    吉尾先生、今回は本当にありがとうございました。 
    また、このブログのようなご紹介をしていただき、
    改めて先生の感性と知識の豊富さと凄さに、
    スタッフ一同、大変驚くばかりか、
    恐縮いたしております。

    先日の講習会後、当院のスタッフは、改めて自分たちの担当する患者さんを
    見つめ直しています。
    先生の講習会の後は、強迫観念ではなく、
    スタッフ各々が「もっと学びたい!」「もっと患者さんを知りたい!」
    「まだまだ可能性があるのではないか?」
    といった想いで溢れ、臨床の活気がいつにも増しています。
    そのモチベーションは、
    “患者さんをもっと幸せにしたい!”“患者さんのために!” 
    に他なりません。
    この想いと行動が、継続していけるように、
    スタッフ一同日々精進してまいりたいと思います。

    先生が今回石川で、受講者含め私たち皆に伝えてくださったことは、
    本当に貴重で、感謝の気持ちがあちこちで聞こえてきます。
    是非また色々とご指南、ご指導、学びをいただきたいと存じます。
    珠洲市総合病院のスタッフを代表し、改めて感謝申し上げます。
    ありがとうございました!!!

  • asuka より:

    おはようございます。
    様々な土地を訪れた時の楽しみ方は人それぞれ。
    まったく大げさではないと思います。
    要は具現化することですね!
    先生の期待に十分お応えできるかわかりませんが、
    患者様のために理学療法の発展に貢献していきたいと思います。
    今後ともよろしくお願いいたします。

  • senri より:

    asukaさん、おはようございます。お久しぶりですね。
    日本国内には鯖の美味しいところがたくさんあります。
    いろんな地方を訪ねたときの楽しみの一つ、それは鯖です。
    大げさですか?
    いろんな人たちを知ることも嬉しいですね。
    その地域ごとにこの人の感性は凄いな、と感じることがよくあります。
    その感性が形になって、私たちの世界を明るくしてくれることを期待しています。
    asukaさん、期待してますよ。

  • asuka より:

    こんにちは。
    やはり先生と鯖は切り離せない存在なのですね。

    「脳のシステム障害の理解とアプローチ」というテーマは
    今や脳卒中の理学療法の分野では必須になりつつありますね。
    先生の今までの努力の賜物だと感じます。
    いつも勉強になります。ありがとうございます。

    感性や行動力は人それぞれですが、先生が鯖と出会い、
    今まで大切にしてきたのと同様に、
    私たちも理学療法士を目指した頃の患者様に対する熱い想いを忘れずに
    日々の臨床や研究に取り組んでいく必要があると思います。

    確たる知識、技術をどのように駆使するかは
    各療法士の感性、行動力に左右されるところかと思います。

    正しく知識、技術を行使するためにどうすべきか、
    先生の言わんとするあるべき姿はもっともっと深く考えなければならない課題だと感じました。

    素敵なメッセージありがとうございます。

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