墨田の花火

いよいよ梅雨も本格的になってまいりました。今回のように台風がやってくると梅雨前線が刺激され、各地で大雨になります。大きな被害が起きませんように。
梅雨を代表する花のひとつに紫陽花があります。大きな毬のような花がたくさん咲き誇って、この時季の六甲山頂付近は見事な彩りになります。この紫陽花には実質的な花、つまり雄しべと雌しべがありませんから、種ができません。故に、挿し木で増やしていきます。
理由ですか?人工的な植物だからです。人工的に交配を重ねながら品種改良した植物は次第に生殖能力をなくしていきます。
りんごもそうですが、幸いに雄しべと雌しべをもつ花をたくさん咲かせますから生殖能力はあります。しかし、同種の花での生殖能力は弱く、異種のりんごの花粉を雌しべに受粉させてあげなければならないのです。人工的なものは弱いのです。きっと人間もです。コンピューターに慣れ親しんだ人間はそれはそれは楽しい生活を送ることができているでしょうけど、一旦それが破綻したら大パニックに陥るでしょう?
さて、紫陽花の話に戻しましょう。今や毬のような紫陽花が本流ですが、紫陽花の原種は日本の山にあるようなヤマアジサイで、額紫陽花です。それがヨーロッパに渡って品種改良され、今のような紫陽花になったのだそうです。額紫陽花には生殖能力があります。周りの「額」の鮮やかさで目立たせて虫を呼び寄せ、中央にある本当の花の受粉を達成するという、なんとも賢い花です。
写真の額紫陽花は千里の住まいの界隈に咲いているものですが、「墨田の花火」という品種です。珍しい八重の花で、なかなか可愛い額紫陽花でしょう。私のお気に入りのひとつになりました。
ところで、東京都墨田区と隅田川、何か不思議に感じませんか?あの有名な花火大会は「隅田川の花火大会」と書きます。墨田の花火?こうなると調べずにおれなくなるのが私なのです。
隅田川を挟んで西側が浅草のある台東区、東側が両国やスカイツリーのある墨田区になります。墨田区と隅田川はなんらかの関係がありそうですね。荒川の河口デルタ地帯を陸地の隅ということで隅田と呼んでいたそうです。秩父連峰や日光連山などから流れ出た肥沃な土が堆積して、隅田はいい農地だったようです。なんと江戸時代までは墨田という表記だったそうです。肥沃で墨のように黒い田んぼだったのでしょうか・・。しかし、江戸時代では墨は罪人を連想させることもあって、隅に変わったのかもしれませんね。
隅田川の土手を「墨堤」と呼ぶそうで、その墨と隅田川の田とを合わせて、戦後に墨田区が誕生した、とあります。
いやあ、知るということは楽しいことですね。寝る時間を忘れて調べてしまいました。
ところで、何故に「墨田の花火」なのか?ですよね。よく分からなかったのですが、私なりに考えたことは、水面に咲く花火は見事ですが、紫陽花は「川の中」には咲かないからかな、ということと、紫陽花の原種である額紫陽花を古の墨田と重ねたのかな、ということでした。ご存じの方は教えてください。

コメント (4)

  • senri より:

    maimaiさん、さすがですね。
    いい線までたどり着いたようですね。
    やはり隅田の花火が無理がなさそうですけど・・・。
    私もこれからそのように表現しましょう。
    ありがとうございます。

  • maimai より:

    おはようございます。
    『隅田の花火』、約40年前に「花光園園主の中村利得」氏が命名したアジサイだとか。
    額アジサイが突然変異して花梗(かこう)が長くなったそう。
    ➡隅田川夜空に浮かぶ花火のように、四方に広がる様子から名づけられた、とされているようです。

    ちなみに現在のこの広まりは、「サカタのタネ」さんが世の中に広めたとか…

  • senri より:

    maimaiさん、おはようございます。
    そうなんですか!
    私が見た解説書には全て「墨田の花火」とありましたから、頭の中が??????に。
    そもそも品種改良ですみだの花火を作った人はどなたなのでしょう?
    菖蒲やみかん、りんご、あるいはさくらんぼのように品種改良を重ねて作った品種は、どこで作られたとか、作った人は誰か、という解説がしてありますね。
    もう一息ですね。
    ありがとうございます。分からないことをそのままにしておくのは好きではなくて書いたブログでした。
    教えていただき、ありがとうございました。
    さらに分かったことがありましたら、ここにコメントをお願いいたします。

  • maimai より:

    吉尾先生、こんばんわ。
    「墨田の花火」、かわいいです。当院にも咲いていて、よく患者様と見に行っては、こっそり盗んで病棟へ持ち帰り、検尿カップをカットして、お花を浮かばせて飾っています(笑)
    さて、私なりに調べてみましたが、残念ながら由来はのっていませんでした。
    自宅の図鑑も小学生以来、開いてみましたが、ないものですねぇ。
    ただ、ネット上では、どうやら「隅田の花火」が正しいのだということです。
    私もずっと「墨田の花火」だと思っていましたし、先生からのこの課題がなければ、まったく疑うこともなかってことでしょう。さすが、導くことがお上手な先生‼
    初めて名づけた方は、「隅田の花火」と名付けた、とありました。
    辞書等での調査ではありませんので、確信はできませんが。

    何事も、疑問を持って知ろうとする姿勢を、いろんなところで使用する癖をつけなければいけませんね。
    大した内容がお届けできず、すみません!

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