お盆

あれから半年が経ちました。千歳の姉の初盆です。
お盆には多くの日本人がお墓や仏壇の前で手を合わせます。仏教には旧暦の7月15日に先祖の霊を供養し、非常な苦から救う盂蘭盆会という行事があります。簡単に言えば、この時季に故人の精霊をお迎えし、家族団欒して苦から逃れてもらい、再び精霊に相応しいところへとお送りするのがお盆です。お盆とは野菜や果物などの供物を盛って精霊をお迎えする器のことです。
北九州に「小文字山」という街の夜景がきれいに見える山があります。小という文字が山肌に書いてあります。そこで松明を燃やして、13日の夜、お盆の迎え火にするのです。
京都にはご存じの大文字をはじめ、五山の送り火が16日の夜に一斉に灯ります。日本人ならば一度は触れておきたい日本の文化のひとつでしょう。灯籠流しも同じです。
お盆は純粋な仏教の行事のようですが、実は古神道に先祖供養の儀式があったそうです。檀家制度を勧める江戸幕府が先祖供養の儀式を仏教でも行うように強制したことから、盂蘭盆と重なるようにお盆という形になったと言われています。
神仏関係なく、特定の宗教心とは関係なく、ご先祖や大切な人のことを思う気持ち、自然を愛しむ心、他人に迷惑をかけない態度、というのが日本人の奥底に存在しているように思います。最近、コンビニやレストランの冷凍庫に入った姿をツイッターなどで紹介していることが大問題になっていますが、IT関連の発展があったとしても、日本人の根底にあるものはなくさないで欲しいものです。
大阪市営地下鉄の中で信じられないような光景を見ました。席は半分くらい埋まっていたでしょうか。ある駅で、片手にスマートフォンを持った20歳前くらいの超現代風の女性二人が乗り込み、空いていた私の斜め前の席に座りました。間もなく、ビニールの買い物袋からフライドチキンやポテトチップスを取り出し、賑やかにおしゃべりしながら食べ始めたのです。私はちょっと嫌になって目を閉じていたら、しばらく居眠りしたようです。どこかの駅に着いた感じがして目を開けると、ちょうどその二人が席を立って電車から降りていくところでした。
席に目をやると白いビニール袋が床に落ち、背もたれと座面の隙間に何やら挟み込まれている物が見えたのです。あっ、あの子たちはとんでもないことを、と思って、その席に移動してみました。席の隙間に詰め込んでいたものを全て取り出してみて、びっくりです。なんとも悲しい、信じられない光景でした。
お盆の文化を知っていれば、このようなことを意図的にすることはできないでしょうに。

コメント (13)

  • 弓削類 より:

    いつ電話しても先生が不在なご様子,ご多忙ですね.お身体には気を付けて下さい.脳卒中理学療法の理論と技術の本を送って頂き有り難うございました.来年の学会の事で連絡したいので,私のメールにご連絡を下さい.弓削

  • senri より:

    チャーコさん、おはようございます。
    この夏の暑さに負けず、元気でお過ごしのようですね。
    チャーコさんのごみを拾ってゴミ箱に捨てに行く姿を見ている人も多いと思います。
    その姿勢がその人たちにも影響していくと素晴らしいと思います。
    週末の東京、目的は何ですか?
    気をつけて、そして最高に楽しんできてください。

  • senri より:

    asukaさん、おはようございます。
    なかなか難しいことかもしれませんが、できるだけ眉間に皺を寄せないでいたいですね。
    ミラー細胞は相手にも眉間に皺を寄せさせることになりますから。

  • チャーコ より:

    こんにちはいつもブログ読んでいます。本当電車でのお菓子食べてその食べた袋やコンビ二の袋そのままにして降りる駅で降りて知らん顔はマナー違反ですよね。

    私も電車ないでよく見かけますよ。犬散歩の時も道ばたにコンビ二の袋にお菓子やジュースのペットボトルがはいったのがそのまま捨ててあってそれを、私がコンビ二のごみ箱まで、犬と捨てにいきます。

    25日は東京まで杖ついて 行きますが、9月また遊びにいきますね

  • asuka より:

    間違った事、悪い事を正そうとすることも時には必要ですが、
    先生の言われるような「他者を思える穏やかな広い心の人」が重要なのですね。
    そのような心を持つためにも周囲に関心を持ち、愛情を注ぎ続けることを
    自ら行うのが必要そうですね。
    私もそうなれるよう努力していきたいと思います。

    いつも素敵なメッセージをありがとうございます。

  • senri より:

    asukaさん、おはようございます。
    まずは自ら、というところでしょうか。
    私は相田みつをさんのメッセージが大好きですが、
    その中に、間違いを包み込んでくれるような温かさも感じたりします。
    そこにはなんとも言えない笑顔があって・・。
    なかなかできることではありませんけどね。

  • asuka より:

    おはようございます。
    子供は親のことをとても良く見ています。

    子供が悪ふざけしていて周囲に迷惑かけていても注意しない親を時々みかけます。
    悪い行動は悪い、だから叱る。
    良い行動は良い、だから褒める。
    当たり前ですが、それをしっかり行わないといけないですね。

    患者さんのリハビリでも悪い動作、良い動作をしっかり見極めてフィードバックできる目を養わないと
    患者さんは動作ができるようにはならないですよね。

    良い行動のみをやって見せる、良い行動したらしっかり褒める。
    これが足りないのだろうと感じます。

  • senri より:

    asukaさん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。
    ミラー細胞は大切です。
    まずは親がやって見せる。それが足りないのでしょうかね?

  • senri より:

    maimaiさん、こんばんは。
    いつもコメントいただき、ありがとうございます。
    やはり、あれはいかんですよ、ね。
    ちゃんと見ていたら、もしかしたら注意にも行っていたかもしれません。
    30年ほど前、パリに行ったとき、地下鉄内でうるさくしている若者が1人いました。
    私は2つドアくらいあけて立っていたのですが、突然、中年のご婦人が席を立って、
    その青年に(おそらく)フランス語で、凄い剣幕で怒鳴りつけていったのです。
    結局、数名の男性が応援して、その青年を次の駅で外に放り出してしまいました。
    あれは凄かった。素晴らしい場面を見せていただいたと思います。
    そのことを思うと、私がしたことは・・・。
    医療人は大阪地下鉄の彼女たちのような存在ではありたくないですね。

  • asuka より:

    おはようございます。
    「他者を思える穏やかな広い心の人」とはまさに吉尾先生ですね!
    他者を思える心を持つ人の言葉、自己中心的な人の言葉。
    同じような話をしていても先生のようなミラー細胞が活性化された人なら、
    その人の根底にあるものが何かをお見通しでしょうね。
    気をつけなければ(笑)
    類は友を呼ぶとことわざでありますが、科学的にも証明できそうですね。

  • maimai より:

    先生、こんばんわ。
    初盆、御供養にいかれたのでしょうか。お忙しい日常ですから、御供養兼、御休養できたのなら、良かったですけれど。
    電車の出来事は、さぞ腹立たしかったでしょう…
    それを、拾い上げた先生が、とてもすごいと思いました。
    なんてことを!と感じても、私にはそこまではなかなかできません。
    ただ、あのようにゴミが挟まっている席を拝見したことは何度かありますが、確かに、席が空いていても座らずに立つことを選択していました。恥ずかしいですね。
    PTの仕事面だけでなく、こういったところでも、また偉大さを感じました。
    先生のおっしゃる「他者を思える穏やかな広い心」…
    私にはだいぶ欠けているものですが、そういう心を持てるよう、よく考えて行動していきたいと思います。
    先生にとっては、腹立たしい内容ですが、私にはとてもほっこりなお話でした。
    いつもありがとうございます!

  • senri より:

    asukaさん、おはようございます。
    いつもコメントいただき、ありがとうございます。
    医療従事者でも自己中心的な人をときどき見かけます。
    主体的に関わることと、自己中心的になることとは全く違います。
    ましてや今回のような他人に迷惑をかける行為はあってはいけないことです。
    他者を思える穏やかな広い心の人に会えたとき、やはり笑顔が素敵に見えます。
    その笑顔はミラー細胞の活動にかなり影響を受けます。

  • asuka より:

    こんばんは。
    私は小さい頃、母親から「人の気持ちがわかる人になりなさい」と言われました。

    自分さえ良ければいいのではなく、周囲の人、物、事にも配慮しなければいけませんね。

    周囲へ配慮できないその人自身の問題かもしれませんが、
    そのような行動に至るには小さい頃からの教育、周囲の環境の影響も大きいと思います。

    私は普段病院で学生の臨床指導も行いますが、
    その学生が働きだす前にリハビリ従事者の心構えをしっかりと伝えられたらと思っています。

    一人でも多くのリハビリ従事者が患者さんの心に寄り添って、最善の治療が行えるようになることを願っています。

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