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夜中に目を覚ましてTVを点けてみると、NHKアーカイブスで桂枝雀の落語を放送していました。枝雀さんの落語は大好きでした。師匠の桂米朝とは全く違った芸風で、喋りもパフォーマンスも、そして何よりも枝雀さんの顔の表現が素晴らしく、独創的な高座でした。新作落語ではなく、古典が故に存在するであろうバリアを振り払って、自由大胆な桂枝雀の世界を創っていました。いつか桂枝雀の高座に出かけてみたいと思っていましたが、残念ながら15年前、還暦を前に逝去されました。今日419日が命日です。今日の放送は夜中ではありましたが、NHKの配慮だろうと思います。Amazonで全集のDVDを発売しているようですから、求めてお宝の1つにしようと思います。
インテックス大阪でバリアフリー2014417日から今日まで開催されています。日本慢性期医療協会も慢性期医療展2014を同時開催しています。千里リハビリテーション病院もその一角でブースを設けて病院紹介をしています。今年もたくさんの方々がブースを訪ねてくださっています。退院された患者さんが元気なお顔を見せてくださったり、ご家族のことで相談にいらしたり、セミナーでは大変世話になったとご挨拶に立ち寄ってくださったり、卒業したら就職したいとアピールしていく学生さんがいたり、いろいろです。
18日のワークショップ会場と日本慢性期医療協会セミナー会場では当院の作業療法士と理学療法士がほぼ満員の聴衆に丁寧に講演していました。受講者が一般の方から専門職までと幅広く、どこに焦点を当ててお話しするか、結構難しい課題ではありますが、なかなかの好評をいただいていたようです。これまでの業界の常識にとらわれず、根拠を求めながら臨床活動を行う姿勢は、ある意味で勇気のいることではありますが、重要なことだと思います。常識に基づいているかのように見えるリハビリテーション医療は、実はまだ確たる道筋がない領域です。昨日も一般の方からそのようなご指摘がありました。これまでの常識にとらわれないということは、いわば呪縛から解き放たれることであり、真理を求めていくのに極めて重要な姿勢だと思います。

御衣黄もいよいよ終わりを告げようとしています。花の落下が始まりました。風に舞うのではなく、free fall です。その直前に最後の力を振り絞って咲く花たちをご覧いただきましょう

コメント (17)

  • senri より:

    keitaさん、おはようございます。
    メッセージをお寄せいただき、ありがとうございます。
    思うことをできるだけ行動に移していく。やる前から心配していても始まりませんから。
    動けば周りも動きますから、環境はいい方向に展開していくことが多いと思います。
    そうでないときは自分を振り返ってみればまた道は開けたりもするでしょう。
    病院と大学院とを同時に進めていくエネルギーは相当なものだと思いますが、
    keitaさんのお顔はそれを楽しんでいらっしゃるようにさえ見えました。
    これからのメッセージを楽しみにしています。

  • senri より:

    広美さん、おはようございます。
    メッセージ、ありがとうございます。
    人それぞれですが、その人の持っているとても素敵なところがしっかり見えるといいですね。

  • senri より:

    長浜さん、おはようございます。コメント、ありがとうございます。
    枝雀さん、大好きでしたから、後悔してもしきれないような思いです。
    ゼロはどこまで重ねてもゼロでしかないですからね。
    要は具現化すること、ということでしょう。
    ときどき「枝雀十八番」を楽しみながら、人間を考えてみたいと思います。
    これからもよろしくお願いいたします。

  • senri より:

    箕面のNさん、小米さんのレコードをお持ちですか。それは素晴らしい。
    昨日届いた「枝雀十八番」は昭和54年から平成8年までで、ほとんどは昭和の演目です。
    ABCで枝雀寄席を放送していたのを覚えていますか?その頃の前半から中盤ものです。
    私たちがお相手する患者さんたちはそれこそ十人十色。
    私たちの知識が偏ったものであれば、その方々と向き合うのはなかなか難しいと思います。
    できるだけ幅広く、そしてできればそのいくつかは深く探究できるようにしたいですね。
    箕面のNさんのメッセージを拝見していますと、正にそのような生き方をなさっていると思います。
    感動です。

  • senri より:

    maimaiさん、おはようございます。
    御衣黄は大体下向きに開いています。花弁が重いのも理由のひとつかもしれません。終わるとそのまま自然落下します。他の八重桜はソメイヨシノと同じく花吹雪になります。
    ミラー細胞が活性化されると患者さんも同じような顔になって、お互いが共感できてよいのかもしれませんね。
    セラピストはそれを誘発できるように演じる必要もあります。
    もちろん、見え見えの演じ方は見ていて楽しくはないですから、内から湧き出てくるものにしていきたいですね。なかなか難しいことのようですが、恥を捨ててちょっとだけ大胆に振る舞えば帯状皮質運動野の感度は良くなるのかもしれません。
    またどこかのセミナーにお越しいただいたとき、ぜひトレーニング効果をお見せください。楽しみにしています。

  • 箕面のN より:

    すみません。小米さんの間違いです。

  • 箕面のN より:

    おはようございます。僕も落語が大好きでレコードではありますが枝雀さんになる前の子米さんのころのを持っています。「緊張と緩和」ナカタニさんの言われるようPTの世界にも役立つ言葉だと思います。そういう意味では寛美さんの「間は魔に通ず」もいい言葉だと思っています。PTだけやっていると狭い世界に入りがちです。違う分野の人の活動、言動を知ることもPTの世界を広げてくれるのではないでしょうか。その意味でもいろんなことに興味を持たれている吉尾さんを見習わなくちゃと思い少しづつやっていますよ。

  • maimai より:

    先生、こんにちわ。
    この桜は、今は特に下を向いて咲いている、のでしょうか。
    見上げれば、こちらを向いてがんばっているのですね、きっと。
    お茶飲みながら、御団子食べたい気分になりますね。花も団子も、です。欲張りです。

    桂枝雀師匠は、私はよく存じませんが、「笑顔の仮面をかぶっていると、そのうちそういう顔になる」のようなことをおっしゃっていた方でしょうか。私は笑いじわが沢山ある年の取り方をしたいのですが、どちらかというと、今のところ眉間のしわが深くなる一方です(笑)。
    失語の患者様には、特に百面相を使います。うれしい時や褒める時は満面の笑みで、NGな動作をした際は眉間にしわを、辛そうな時は同じ表情で共感を…いい体操になります。でもぜひ、見ていると笑っちゃう、うれしくなっちゃうといわれる表情の持ち主になりたいです。表面からでいいなら、私にもできそうな気がします。
    是非、次回お会いする際、表情の変化を期待してくださいね!

  • keita より:

    こんばんは。
    いつもブログを拝見しております。
    本日のセミナー大変勉強になりました。ありがとうございました。
    大学院と病院での研究の両立が大変という話をさせていただいたら、「うらやましい」と声をかけていただきました。恵まれた環境なのだというのを思い直しました。先生と話をさせていただくと、毎回元気づけられます。
    臨床はもちろんのこと、研究を通して人間の知恵の領域を広げ、確たる道筋を立てることに役立てればと思います。

  • 広美 より:

    有難うございます。吉尾先生のブロクを拝見し、自分を取り戻す事が出来ました。涙が止まりません。吉尾先生のコメントに対して、申し訳ないコメントで。

  • 長浜 より:

    はじめまして いきなりコメントさせてもらいすみません。桂枝雀さんのことを書かれてたので参加してしまいました。枝雀さんの落語を聴きにいっていた頃には 突然、落語が聴けなくなるなんて考えもせず安易に考えていました。いまさらですが もっと聴きにいけばよかったと思っています。そうおもえば したい!と思っていることは行動にうつさなければ何にもならないってことですね。心がけるようにしなければと改めて思いました。  

  • senri より:

    気合いだ!ナカタニ!さん、早速お越しいただき、ありがとうございます。
    真夜中のコメントでしたが、この時間はおはようございます、ですかね? 
    「桂枝雀の十八番」を買いました。ちょっと彼の緊張と緩和の世界を学びたくて。
    どこの放送局だったかは忘れましたが、枝雀さんの日常を含めた特集を放送したことがあります。
    特に人間の持つ緊張と緩和について語る師匠は楽しそうでした。それを表現するあの顔は国宝級です。
    緩和だけでもだめなのです。神経細胞は活動電位があるレベルまで上がらなければ、発火に到らないのです。
    それでは運動も学習もあり得ないのです。特に脳卒中の世界では考えなければいけません。
    気合いも重要なのです。よ、ね?
    もちろん、過緊張ばかりでもいけません。Over activityは痙縮の本質でもあります。でもそこには本来緊張すべきところがうまく活動できていないところがあるから、と考えることもできます。
    これらをもっときちんと文字化することが必要な世界です。
    指示する医師も分かっていないし、受けるセラピストも分かっていない。だから丸投げになる。
    相互に信頼できるから丸投げにできることとは違います。
    これからも発想豊かなメッセージ、楽しみにしています。

  • senri より:

    asukaさん、こんばんは。
    まとめ方がうまいですね。御衣黄のシリーズをそのようにくくっていただければ私も本望です。
    歴史もそうです。何かが起こるのにはその背景や経緯が影響していることが多いと思います。
    それらを知ることも大切なことです。私たちの業界の諸問題には人間が織り成す歴史やタイミングが影響していると思っています。日本の場合、それが特異的ですし、巨人、大鵬、卵焼きとか、長いものには巻かれよ、という傾向を持っている国民性です。
    長いものに巻かれた方がよい時もあるでしょうけど、冷静にその結果を見ていると間違っていたということにもなりかねません。現実的に、さまざまな問題が起こっていますね。
    そのような事象から謙虚に学んでいく姿勢を持ちたいものです。

  • 気合だ!ナカタニ! より:

    笑いもリハビリテーションも、どちらも確たる道筋の無い世界ですね。
    枝雀師匠は『緊張と緩和』という笑いの理論を追求されました。

    緊張と緩和、よく考えてみると、片麻痺患者さんの歩行においてもとっても重要なキーワードですね。

  • asuka より:

    こんにちは。
    御衣黄は花の色づきだけではなく、落下するという変わった終わり方なのですね。
    最初から最後まで常識にとらわれない。
    リハビリテーションにおいては、ある一部分を取り出して考えるのではなく、
    最初の基本から考え直して根拠を打ち出していかなければいけないですね。
    脳卒中の患者さんにおいて、先生が取り組まれている画像を見ることもその一つだと感じます。

    奇麗に咲いている間だけではなく、始めから終わりまで考えないといけませんね。

  • senri より:

    チャーコさん、こんにちは。今日はいい天気ですね。
    一番乗りでコメントをお届けいただき、ありがとうございます。
    枝雀さん、とてもおもしろかったですね。
    今でも枝雀さんのことをよく思い出します。他の人の落語を見るたびに枝雀さんの表情が目に浮かびます。
    惜しい落語家でした。

  • チャーコ より:

    こんにちは。いつも吉尾先生のブログ読んでいます。落語の桂枝雀さん、NHKアーカイブスで放送してたんですか?私も落語会で桂枝雀さん好きですよ。インテックス大阪も行きたかったです。また遊びに行きますね

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