日本理学療法学術大会

5月30日~6月1日、第49回日本理学療法学術大会が横浜で開催されました。
8,000人ほどの参加があったそうです。理学療法士が約10万人ですから、かなりの参加率になります。
今回はそれぞれの専門領域ごとに会場を一定にして運営されましたから、神経領域の責任者としてほとんど現場を離れずに過ごしました。口述一般演題でもセレクション演題でも5,6年前までとは違って多くの意見や質問が寄せられ、座長は時間調整に大変だったようでした。
質問する顔ぶれも変わってきたようです。明らかに世代は移りつつあるのだと思いました。それだけ領域の成長があったのかもしれませんが、一方で不安も感じたりしました。数値の羅列が全てで、患者さんたちの顔が見えてこないような演題も散見されましたし、倫理的にどうなのだろうと疑問を感じるような演題や意見もありました。主体は何か、忘れないようにしたいものです。
最終日の特別講演では東京大学大学院総合文化研究科の柳原大先生に「歩行・姿勢の適応制御における小脳の役割」と題して、先生がマウスを中心に研究されている小脳のシステムについて解説していただきました。あくまでもマウスの話ですから、ヒトのシステムは多少違うのかもしれませんが、とても分かりやすい解説で、これからの臨床に大いに役立つ内容でした。これまで文献などを参考に理解してきた小脳のシステムを少し見直さなければならない部分もありましたし、今回、柳原先生に講演をお願いしてよかったと思います。
それにしても凄い聴衆でした。サテライト会場も含めると1,500人くらいはいたと思います。主会場の床に座って聞いている人たちが多く、足の踏み場もない有様で、出入り口にも人は溢れていました。サテライト会場も同様で、サテライト会場の追加をしたくらいです。会場の準備を間違わないようにしないといけません。2時間15分の講演でしたから聴衆には気の毒な環境でしたが、収穫の多い特別講演でしたからお許しください。
この学術大会を通して課題をいくつかいただきましたので、1つずつ形にしていくよう努力してまいります。

 

コメント (12)

  • aisaku より:

    お食事しながらゆっくり語り合いましょうね。
    言語化することは大事ですし、想いを共有することもエネルギーになりますからね。
    まずは、ここのブログですね。
    先生を始めすてきなメンバーに感謝です!

  • senri より:

    aisakuさん、おはようございます。
    またゆっくり語りましょう。できれば食事でもしながら。
    新人教育についても。
    語ることで見えてくるものありますから。
    取り敢えずはこのブログでですか、ね?

  • aisaku より:

    学会お疲れ様でした。
    なんだか噂になっていたようですので、ふらりと立ち寄ってみました。
    asukaさんのご察しの通りうらやましいですね~、千葉の時と同様にご一緒したかったです(涙)
    報告ありがとうございました。
    それにしても柳原先生の講演はとても興味深いですね。梗塞と出血の違いなどmaimaiさんの書き込みを読んでなるほどって思いました。
    今日は新人スタッフとハンドリングの勉強会をしてきました。技術も知識も高い位置でバランスを保ちながら、患者さんと向き合ってほしいなという念を込めてきました。
    ここに集う皆さんと同じように、前を向いて大きく成長してほしいなって感じています(^^)

  • senri より:

    maimaiさん、こんにちは。なんと、今日はお休みですか! 羨ましいですねえ。
    学術大会ではしんどい思いをさせましたね。でも、講演の内容は満足できるものでしたから、よかったですね。
    血腫はいずれ吸収されますから、グルタミン酸はそれなりの働きに戻ります。しかし、シナプスは使わなければどんどん消退したり、樹状突起のスパイン(シナプスの受け手)は小さくなったりしていきますから、状況はよろしくないでしょうね。
    柳原先生のような研究者は基本的に連絡先はネット上で公開していらっしゃいます。ちなみに、ネットでは
    柳原 大 准教授 9号館. Tel: 03-5454-6857. Fax: 03-5454-4317. E-mail: dai-y@idaten.c.u-tokyo.ac.jp. [脳神経科学、運動生理学].  という情報がありますよ。
    お帰りの際に近くにいらしたのですか。何人かの方々に捕まっていましたので、ご挨拶できず、残念でした。申し訳ありません。
    次の機会にはぜひお声かけください。

  • maimai より:

    吉尾先生、おはようございます。
    こんな時間に…仕事サボって…ではありません。お休みです。
    学会、お疲れ様でした。何度か先生を拝見しまして、会場を後にするときは先生を目前にご挨拶をしようとしたところで、ほかの方に先生を奪われてしまいました。あきらめて帰る様を一緒にいたスタッフが見ていて、笑われてしまいました(笑)
    先生に質問させていただくのは、ちょっと違うのかもしれないとは思いますが、柳原先生の連絡先を写しきれず聞きそびれてしまったので、もしご存知でしたら教えてください。
    小脳出血を起こすと、ヘモグロビンが血管から漏れ、それらがグルタミン酸と結合してしまうため、長期抑圧が起こらないから、学習されにくい、とのお話でした(かなり省略してしまいましたが)。血腫が吸収された後も…ということなのでしょうか、それとも血腫が吸収されない間は・・・という意味なのでしょうか。どちらにせよ、小脳梗塞より小脳出血の方が学習能力が低い、ということはわかりました。
    私は会場には入れず、外で拝聴しておりましたが、背が小さいもので、重心移動している前の方でスライドが見れず、会場外の小さな画面で床に座って拝聴しておりました。でも、十分楽しいご講演でした。「へえ~、へえ~」とうなってました(笑)。ありがとうございました。
    最後の最後、ディスカッションで違和感があったのは、先生のおっしゃるように、個人・個性がなかったからなのでしょうか。
    私も、また先生にお目にかかれる日を楽しみにしています。
    お疲れ様でした!

  • senri より:

    北窓さん、こんばんは。
    ブログをお読みいただき、また、ご丁寧なコメントをお届けいただき、ありがとうございます。
    焦らず1歩1歩ですよ。
    長年かかって抱えてこられた課題に挑戦され、新たな北窓さんになられたわけですから、ゆっくり馴らし運転をしてあげてください。
    27日が楽しみですね。
    退院なさった後、何度か病院にいらしているようですが、一度もお会いできていませんね。平日でしたら病院に、しかもかなり遅くまでいることがほとんどですから、スタッフに尋ねてみてください。私もお会いできれば嬉しいです。

  • 北窓 より:

    入院中はお世話になりありがとうございました。素晴らしい環境の中でリハビリが出来て大変嬉しく思います。また、お忙しいのにお時間を頂き、先生の患者様への考え方、石巻のお話をお聞きし、まだ私にも出来ることがあるのではないかと、自信になりました。しかし、退院した途端に半年間の入院疲れか、帰って何日かほとんどベッドで過してしまいました。やっと筋力がついて自信を付けたはずだっただけに、またうつ病が再発したのではと心配しました。筋力も落ちてしまうと焦りました。パソコンを開けるのも昨日でした。そして先生のブログを見て、季節の移り変わりなどを見て優しい気持ちになりました。退院してから入院して知り合いになった方が退院されると聞く度に、お赤飯を持って病院で夕食を一緒にしています。今日も明日3階のIさんが退院されるとメールを頂き、夕方伺います。行く度にスタッフの温かいお迎えに元気を頂いています。3年3ヶ月のブランクは多きいですが、看護、患者様への気持ちは今でも変わりません。27日の診察で自信を持って復職可能と診察医師に言って貰うよう、自主トレに頑張ります。また、先生のお顔が見える日を楽しみにしています。

  • senri より:

    asukaさん、おはようございます。
    そういう意味ではこのブログも大きな影響を持っていると言えそうですね。
    私が講師を務めているセミナーに参加していただいたことのある男性のPTと先日夜遅くに、久しぶりに飲みながら語りました。多くの受講者がいる中で、彼は毎年1、2本の短いメールをくれます。あとは、学会場で顔を見たとき、「お元気ですか?今度一杯やりましょう」と声を掛けることを繰り返す程度でしたが、今回、それが実現しました。お互いに何かが違うのでしょうね。学会場でもサッと目に入ってきますから、声掛けする機会を作れるようです。
    プルキンエ細胞ですか・・・。奥が深いですねえ。

  • asuka より:

    おはようございます。
    フォローありがとうございます。
    あの大勢の聴衆の中で会えたのも、幾度かそれまでにこの場で言葉を交わしたり、
    直接お会いしたことがあったからですね。
    そう考えると反復した行動があったからこそプルキンエ細胞が
    多くの情報から個人を選択し、気づきやすい状況になっていたのかもしれません。
    運動学習についての理解が深まった講演でした。

  • senri より:

    asukaさん、こんばんは。
    あの大勢の聴衆の中で、よく横を通ったものだとびっくりしました。ご挨拶できてよかったです。
    ということでaisakuさんにご報告です。
    柳原先生のお話はもちろん生理学をベースとしたものですが、機能解剖学的側面をも含んだものです。
    間違いということでもないかも、ですよ。
    あのようなお話を聞くと、自身が行っていることを改めて見直さなければ、と思うようになりますね。

  • asuka より:

    こんばんは.
    追加です.
    脳は機能解剖も大切ですが,神経生理についてお話をいただきましたね.
    間違えです.すみません.

  • asuka より:

    こんばんは.
    私も学会に参加し,柳原先生のご講演を拝聴させて頂きました.
    難しい内容でしたのに,とても分かり易く,かつ臨床をイメージしやすい話し方で
    大変勉強になりました.
    また脳の機能解剖を知ることは臨床家として重要であることを再確認できました.

    先生のおっしゃるように人の多さには圧倒されましたが,
    それだけ興味を持っている人が多いということですね.今後が楽しみです.

    あと,会場で先生とご挨拶できて嬉しかったです.
    aisakuさんにやきもちやかれますね(笑)

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