大畑という男

NEC_1920先週末は東京国際フォーラムで過ごしました。
木曜日に諸会議、金、土、日曜日は第50回日本理学療法学術大会に出席。50回目という記念大会だけあって、盛りだくさんの企画があり、参加者は10600人を超えたそうです。多くの企画が同時進行していて選択が大変でした。
千里リハビリテーション病院からも6人の発表があり、発表したスタッフたちはそれぞれ、そこに至るまでの過程も含めて学ぶことが多かったでしょうし、会場で刺激を受けたことも多かったであろうと思います。明日にしっかりつなげてほしいと思います。
私自身も、いろいろ議論し、多くの友人たちと再会することができ、そして初めて会う若者たちからたくさん声を掛けられた有意義な大会でありました。

今回は「理学療法50年のあゆみと展望 ~新たなる可能性への挑戦~」というテーマに取り組んだ学会でしたから、相当な具体的メッセージを残さなければならない学会でした。シンポジウムを通して挑戦すべきある方向性を示していくことを期待しましたが、今一歩、具体的に踏み込めていなかったように思いました。特に神経理学療法学会で主催する歩行再建に関するシンポジウムでは、これからの挑戦につながるような討論がなされなかったのはいただけませんでした。これまでの反省と、これからどのようなところに目を向けていかなければならないかという提案はお二人からありましたが、進行の中でそれを深く発展させることができませんでした。

学会全体の中で際立った提言をしたシンポジストがいました。京都大学の大畑氏です。大会のクロージングシンポジウムでした。先月逝去された今川忠男氏が言及されていたことを紹介しながら、これまで拘ってきた効果を示すことさえできなかった方法を自ら否定する勇気を持つべきであり、今、それを為さなければならないときであると、理路整然と、しかも具体的方向性を熱く主張されました。会場は圧倒されたと思います。必死で自分たちの立場を守ろうとするグループからすれば反論したいところだったでしょうが、時間もなく、議論することが許されないままでした。恐らく、時間があっても反論はできなかったでしょう。
これまでも私なりに中枢神経障害に対する理学療法のあり方を変革するための取り組みをしてきましたが、加速していかなければならないと改めて意を強くした提言でした。

コメント (27)

  • senri より:

    c.t.nさん、こんばんは。
    ちょっと楽しそうですね。学びは楽しい方がいいですよね。

  • c.t.n より:

    吉尾先生 こんばんは。
    今回の学術大会で得られたことはここでは述べられない程多くあります。
    感想文もまだ上手くまとめきれていないのですが、気になることを調べたりしてます。
    せっかく学生もきているので、一緒に調べてもらってます。それはとても基本・基礎的なことですが、
    結構楽しいです。
    今は学生の頃に購入した専門書を見直しています。今みると頭の中に入ってくる知識はまた違ったことがクリアになったりします。
    何かをよむ際にも、そのときの自身のバイアスがあるのかもしれませんね。きづかされました。
    その専門書の中には、どこからどこまで随意的な運動といえるのか?とありました。
    視床、中脳の機能を残しておくとどうなるか?ともありました。
    おもしろいなぁ〜と感じました。

  • c.t.n より:

    吉尾先生 こんばんは。
    はい、先生の理学療法にかける想いが伝わりました。

  • senri より:

    asukaさん、おはようございます。
    才藤先生のお話は永雄総一先生との打ち合わせの関係で伺えませんでしたが、そのようにお話しされているのを以前、伺ったことがあります。とても分かりやすいお話でした。
    才藤先生も原点を大切になさっていると思います。

  • senri より:

    c.t.nさん、おはようございます。
    コメント、ありがとうございます。
    この1枚の写真?
    吉尾の真実?

  • asuka より:

    こんばんは。
    今回の学会ではこれまでの50年であまり変われなかった部分と、
    新たな挑戦へ踏み出した部分と、様々な面が見られました。
    だからこそ、50年経って重要な過渡期に差し掛かっているようにも感じました。
    才藤先生のご講演では「リハビリテーション医学は活動の医学」と言われていました。
    私も気合を入れて患者さんの活動、参加面に通じるような臨床研究を模索していきたいと思います。
    今週末の大阪でもしっかり学んできます。今後ともよろしくお願い致します。

  • c.t.n より:

    付け加えです。
    私はこの一枚の写真、焼きついてます。
    この場所で同じ様な写真を撮られた方もいらっしゃるかとは思いますが
    これは吉尾先生、 吉尾雅春の真実だと感じてます。
    ただ感動、です。

  • c.t.n より:

    吉尾先生 こんばんは。
    はい、学会では多くを学ばさせていただきました。
    リハビリテーションということばが口癖のようにあふれている中で、リ(レ)ハビリテーションとはなにか?
    理念なのか、目的なのか、手段なのか?というお話もありましたし、その中で理学療法の基本的概念は今も変わらないと思いました。
    そして、EBPTも、という表現をされていました。それから自分のバイアスに気づくこと。NBM、ひとりひとりの人間性について考えること。ナラティブ、今回のメインテーマである“あゆみ”含め、歩行を捉える際も同様なことなのかなと感じました。

    相田みつをの世界に触れることができてとてもよかったです。
    詩、いいですよね。けれど、詩やことばだけじゃなく、相田みつをの作品はすべて一心同体なんですね。
    そしてその中には、人間としてのとても繊細な部分が感じられます。
    やきものも似たような感じがありますが、人間と地球、理学療法との接点がどこかに隠れているのではないかと思いました。
    私はまだ未熟なので、みつけられていませんが・・・
    今回学んだことやこれから学ぶこと含め、私なりにまとめていけたらと感じましたので、機会があればみていただければ幸いです。
    吉尾先生にみていただきたいと思ってます。よろしくお願いします。

  • senri より:

    箕面のNさん、おはようございます。
    意見交換は大切なことです。機会がありましたら、よろしく。

  • senri より:

    keitaさん、おはようございます。
    若かろうが年輩であろうが、他者へ刺激を発信することも重要ですから、それもよろしくお願いしますね。

  • 箕面のN  より:

    吉尾さん学術大会ご苦労様でした。大畑PT以前から注目していました。脳卒中八朔具体的でこんなPTもいてるんだなと思っていました。学術大会で生の話を聞きたかったです。フロアーから質問ができる形式でしたら自分の考えをぶつけてみたかったです。Nより

  • keita より:

    吉尾先生、おはようございます。
    学会に参加する度に、未知との遭遇ができ、楽しく、また反省もさせられます。
    今後も、理学療法に限らず多くの学会などに積極的に参加して、多くの人から刺激を受けて成長していきたいと思います。

  • senri より:

    kanazawaのPTさん、おはようございます。
    相田みつをさんとonちゃんの日めくりカレンダーの今日10日のことばは「ひとの世の幸不幸は 人と人とが逢うことからはじまる よき出逢いを」です。
    真摯なkanazawaのPTさんとの出逢いに感謝、です。
    GJというか筋電図を簡単にとれていいですね。その解釈をどうするか、たくさん見ていくときっと見えてくるものもあるでしょう。今後のメッセージを期待しています。

  • senri より:

    aisakuさん、おはようございます。
    私は実質的にFBをしてませんので、よくわかりませんが、スマホから目と手が離れない人たちをしばしば目にしましたから、aisakuさんがおっしゃるようにFBのタイムラインは賑やかだったのでしょうね。
    その熱をぜひ形に、真の行動にしていってほしいものです。
    今週末はasukaさんはaisakuさんと大阪で一緒です、とおっしゃっていました。
    大阪をしっかり楽しんでくださいませ。

  • kanazawaのPT より:

    吉尾先生おはようございます.
    感じて動くとは,考えたこともなかったです.
    胸に刻んで動いていきます.
    過去には「乾いた鰹節」のお言葉も頂いており,先生のお言葉にはいつも「はっ」とさせられます.
    昨日初めてゲイトジャッジで患者さんの歩行時の筋電図をとらせていただく機会がありました.いつも視覚的になんとなく評価していたものを可視化できる力を感じました.患者さんもこの点は,「おー」と驚いていました.
    下腿前後両方の筋緊張が高い方でしたが,歩行時は力が抜けていないような筋電図波形でした.装具をつけることで前脛骨筋の筋活動はかなり適正化されました.腓腹筋に関しては前遊脚期でも力が抜けず,まだうまくいっていませんでした.これはひとつの課題かと思いました.歩行がもう少し受動的になれば変るのかな??と思いましたが,はっきりとした確証はありません.今後も積み重ねていきたいです.

  • aisaku より:

    吉尾先生、asukaさん
    こんばんわ。
    学会行きたかったんですよね~~。お二人にやきもち、焼き餅、妬きもちというところですかね??
    フェイスブックのタイムラインも学会祭りでした。
    先生のブログにも書かれている皆さんのコメントを見て、刺激をたくさんいただきました。
    さっそく後輩たちと勉強会を行ってきました。
    これからの10年は効果検証を進めていき、より発展させていかないといけないですね。
    微力ながら貢献できるよう頑張りたいと思います。

  • senri より:

    asukaさん、こんばんは。
    学会ではお顔を拝見できてうれしかったです。
    発表された内容も良かったですね。これからの病棟のあり方の本質的なところだろうと思いました。
    大畑氏の主張は神経領域に限らず、今後の理学療法のあり方そのものに訴えていたものがありました。
    その中で特に神経領域は襟を正して進まなければ、これまでの50年となんら変わらないものになります。
    気合を入れてまいります。

  • asuka より:

    こんにちは.
    第50回日本理学療法学術大会,お疲れさまでした.
    セッションによっては大きな会場でも満席になるほどで,注目の高さが伺えました.

    大会のクロージングシンポジウムは帰りの新幹線の関係で拝聴できなかったのは残念でした.
    またどこかの機会で知ることができればと思います.

    相田みつをさんのことばで「原点」というのを今回発見しました.
    「アノネ
     人間にとって一番大事なものはなにか?
     そこを原点として考えてゆけばあとは自然にわかってくるよ」
    理学療法の原点をもとに”新たなる可能性への挑戦”を続けていきたいと思います.
    今回の学会でそのヒントをいくつか頂けました.

    今回の学会でも吉尾先生にお会いできて,お話できて嬉しかったです.
    また,aisakuさんにやきもちやかれますね(笑)

  • senri より:

    kanazawaのPTさん、その想いを形にしていきましょう。
    相田みつをさんのことばから学ぶことも多いです。
    感動とは感じて動くこと。なるほどです。
    感じたら動かなければ、それを感動とは言わない。納得。

  • kanazawaのPT より:

    臨床の中から生まれる疑問や治療に対する手がかりを大切にしたいと思います.また吉尾先生が質疑の中で,おっしゃった「原因を特定する研究」.やはりこれを追究しないといけないと強く感じました.臨床では,原因やメカニズムと深いところまで入っていけていない現状がありますが,だからこそ工夫して,臨床家だからこそだせるものを出して行きたいと思います.学会では発表者のエネルギーを近くで感じることができ,学会の良さを感じました.また継続して参加していきたいと思います.

  • senri より:

    kanazawaのPTさん、おはようございます。お久しぶりです。お元気でしたか?
    千里のスタッフの研究活動はいずれも臨床活動の延長になります。
    常にそのような視点を忘れずに臨床に、研究に向き合おうとしているようで、うれしいことです。
    その積み重ねが彼達の成長につながるわけですから、永雄総一先生がおっしゃったように「継続は力なり」だということです。
    これからもますます精進したいですね。

  • senri より:

    c.t.nさん、おはようございます。
    学会、お疲れ様でした。たくさん学べたようですね。
    主催する側としては反省しきり、ということもありますが、そこからまた学んでいくこともできました。
    次に活かしていきたいと思います。
    相田みつをの世界に触れることができてよかったですね。

  • kanazawaのPT より:

    吉尾先生おはようございます.今回は演題中心に聞かせていただき,大変勉強になりました.質疑応答の中でも自分の気づかない視点が多数あり,勉強になりました.千里のスタッフの方ともお話ができ,視床出血や被殻出血の研究について,いろいろと教えていただき刺激を受けました.自分の足りないところ,病院で足りないところ,全体で足りないところなどいろいろありますが,自分のみにとどまらないように精進したいと思います.

  • c.t.n より:

    そしてこの写真、いいですね。
    ずっと眺めてしまいます。

  • c.t.n より:

    吉尾先生 こんばんは。
    学術大会お疲れ様でした。プログラムの選択もそうですが会場の移動など全てにおいて迷うことが多くありました。
    そしてたくさんの関係者が集まり、会場内では座れない方もいましたね。
    発表者の方々も様々なあゆみの基、研磨してきたんだと熱い想い改めて感じました。
    神経理学療法学会、参加させていただきました。討論も勉強になりました。
    その中でも、吉尾先生や大畑先生の議論は分かりやすく頭に入ってきました。
    締のシンポジウム、よかったです。
    相田みつを美術館もよかったです。

  • senri より:

    keitaさん、こんばんは。
    開示してすぐのコメント、ありがとうございます。
    最後の提言として素晴らしいものがありましたね。
    私は神経理学療法学会のシンポジウムでそこまで引き出すつもりでいたのですが、ちょっといただけませんでした。
    私は神経理学療法学会の代表運営幹事ですが、大畑氏は副代表運営幹事を務めます。
    これからも歯に衣を着せないで、しっかりと議論していきたいと思います。
    サテライトカンファレンスにも、どうぞ、積極的に参加してください。

  • keita より:

    吉尾先生、学会お疲れ様でした。各会場での発表に対する先生のご指摘で、たくさん勉強することができました。

    いろんな発表・講演を聞いて、モヤモヤしたまま2日間を過ごしていた中で、私も大畑先生の話は、深く心に刻まれました。聞き終えた瞬間に、この学会に参加して良かったと感じました。

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