ルーツ
一昨日、昨日と故郷、熊本に行ってきました。帰ってきました、と言うのが正しいのかもしれません。
熊本市内で開催された2日間のセミナーを終えて、手術を受けた義姉の見舞いに向かいました。80歳になる義姉ですが、思った以上に元気そうで、まずは一安心です。
折角の機会ですから、私のルーツを訪ねてみようと思い立ち、動いてみました。写真は球磨川沿いを走る肥薩線の「吉尾駅」を含む景色です。駅と言っても無人駅ですから、写真からはどこに駅があるのかわからないかもしれません。
そこに注ぐ吉尾川沿い上流、私が生まれる10年前に豪雨による洪水で家が被害にあったという場所に行ってきました。名字の吉尾由来の地域です。何度か行ったことはありましたが、この土地に家があった、と明確に意識して訪ねたのは初めてでした。父は婿養子でしたから、流されずに残った柱や梁などを父が元々生まれ育った地域に移設して現在の百済来の家を建てました。まあ、いずれにしても田舎の中の田舎。その両地点を結ぶ17,8㎞ほどの山道を通るのは人よりもイノシシが多いのではないかと思えるような場所です。家の移築も大変だったろうと思います。
昔の人たちは凄いですね。当時は人がやっと通れるような山道を歩いて往来していたのです。昔の人たちなんて言ってますが、実は小さい頃の私も2,3時間かけて二山越えて街まで歩いて出かけたり、潮干狩りに行ったりしたものです。このような日常の生活が忍耐力を含む精神活動に影響を与えていたであろうことは容易に想像つきます。
以前紹介した百済の高僧日羅のお墓にも久しぶりに行ってみました。海側の開けた芦北の町ではなく、このような山間部にお墓を作ったのはなぜだろうと思ってしまいます。人の行動の因果は他者から見ると、あるいは時間を置いて見ると不思議に思えることがあります。
郷里に帰るときは廃校になった小学校や中学校の跡地の前を通りますが、高校は帰郷のルート上にはありません。昨日は大人になって以来、初めて八代高等学校を訪ねてみました。県立ですが、今や、中高一貫教育の学校になっています。校舎に「新しいものに貪欲に挑む進取の気性をもて」とありました。保守的な傾向がある県民性ですから、改めてこのことばの意味を噛みしめています。
高校に通学する際、球磨川にある荒瀬ダムの人口湖を舟で渡らなければなりませんでした。吉尾駅の写真にある湖は荒瀬ダムの上流にある瀬戸石ダム湖です。さらにその上流には大きい一房ダムがあって、豪雨になると放水しますから、最下流にある荒瀬ダムは全開せざるを得ず、下流の街は水害に泣かされてきました。ついに荒瀬ダムは取り壊すことになったのです。全国で唯一、取り壊されたダムです。水門の厚い壁が撤去され、向かって左側の堰がなくなっているのがわかります。あの頃の人口湖はすっかり消え、自然の流れが心地よく目に入ってきました。
間違ったことは変えなければならないのです。この英断は称賛に値します。
コメント (6)
c.t.nさん、こんばんは。
自然の中で感じるのも、限られた空間に閉じ込められて感じるのも、右も左も使って、いろいろあっていいですね。
ヘトヘトの後には快感を味わえることも多いですから、トライ、トライ、トライです。
吉尾先生 こんばんは。
素敵な風景ですね。空気が澄んで心地よさようです。
山を越えてレジャーですか。私は平地ですが連続3時間、1時間、2時間あるきました。
おかげで大腿前面の心地よい遅発性筋肉痛の山を越えています。
リズムの中で多少はAutmaticな歩行でしたが、色々感じ取ることで歩くだけでも前頭葉がビシッとした気がしてます。
認定理学療法士の必須研修を受けてみようと、Pureなままでいたい理学療法士と吉尾先生の今迄の道程を考えるのはnonsense。そんなメッセージも感じられました。
前頭葉をしっかり使いながら、且つ左右のバランスも取りながら歩めたらと思ってます。
取り敢えず、ヘトヘトになりましたが、東京では沢山のことを収穫できたと思います。
aisakuさん、こんばんは。いつもありがとうございます。
前頭葉をしっかり使って、よりよい方向に積み重ねていってください。
結果も大雪ですが、そのプロセスも重要です。
私には良い歩みに見えますよ。
吉尾先生、asukaさん、こんばんわ。
今回の話題はasukaさんがコメントするだろうなって昨晩見てたところ、朝一にコメントがありました。
2月にお会いするときに、ルーツの話題もしたいですね。
私のルーツは何だろうなって考えた時に、川の支流のように分岐部が何箇所がありました。理学療法士としての人生が終わるときに、その支流の選択がよかったかわかるとは思いますが、その可能性が少しでも高まるように日々積み重ね評価していかなければと改めて感じました。
人間は前頭葉が他の動物よりもとても発達しているので、価値観を然るべきタイミングで転換していかないといけませんね。せっかく神様がそんな風に大脳を作ってくれたのですからね。
先生のルーツの写真は風光明媚って言う言葉がぴったりですね。
asukaさん、おはようございます。コメントありがとうございます。
間違っていると分かったときに、転換を行う。
パラダイムシフトすべきときはそうしないと、滅びの笛を吹くことになります。
私は自然豊かなド・田舎に生まれ育って、自然の恵みも、自然の脅威も受け止めてきました。
その中で決断された荒瀬ダムの取り壊し決定は素晴らしいことだと思います。
人間はなかなか価値観の転換をできないのかもしれませんが、何が最も大切なことかさえ忘れなければ、転換は必ずしも不可能なことではありません。
芯の部分を大切にしていきましょう。
おはようございます。
歩んできた道のりがあって今の先生があるのだなぁと実感しました。
自分の行動の因果が間違った方向に進まないためにも、
また、間違った時には素直に改善できるような心を持っていきたいと思います。
理学療法士としては自己満足のためではなく、
患者さんのためになることを優先して考え行動することで
間違った道に進まないように気をつけていきます。
澄み切った青空と重厚な森のコントラストが素敵な写真ですね!