偶然の発見

NEC_2948夜遅くに街を歩いていたら興味深い看板を発見しました。そば屋さん兼そば教室「植田塾」。この看板がなぜ興味深いのか、ですか?私がとてもお世話になった人と同じ苗字だったから。人間って、結構単純なものですよ。
年越しそばの時期でもあるし、今年最後の土曜日に行ってみようと街まで出かけたのですが、なんと、土曜日は休業でした。調べて出かければよかったのですが、ここ数年、こういうことでもなければ休みの日に街に出かける機会がなかったので、ま、よしということに。
代わりによさそうなお店を探そうと辺りを見ると、三休橋筋にお好み焼き屋さんがあったので、そちらの方に向かいました。少し歩くと、遠慮がちに立っている小さな看板が気になり、誘われるようにその看板のお店に。開店祝いの花がまだ新しいcurry & cufe「 gu-te」。若い女性の方が昼間だけ営業されていて、夜はアルコールのお店になるそうで、高いカウンターの客席が10席ほど。いただいたカレーは豚バラ大根カレーとダルドリキーマカレーとのコンビネーション。このあいがけカレーで1000円。もちろん美味であったのですが、過去にこのような味を体験したことがなかったので、とても新鮮で、偶然の発見にしては嬉しすぎるカレーでした。NEC_2949

臨床の中でも偶然の発見というものがあります。なぜそうなるのか、理論的に説明づけることはできなくても、ある事によって明らかに再現性のある変化が現れます。その刺激を特定の部位に加えるようになったきっかけは、その特定の部位が気になって触っているとある変化が生じたからというような、正に偶然の発見で嬉しいのですが、これだけでは他者と共有することは難しいのです。可能な限り意味づけする必要があります。
今年はいくつかの課題を進めるということで「進」という文字を年頭に掲げました。特に、千里リハビリテーション病院で行うアプローチにきちんとした意味づけをすることを大きな目標にしてきましたが、結構進めることができたと思います。これからは、スタッフたちとそれを社会に対して積極的に表現していく努力を重ねていきたいと考えています。

話は変わりますが、「I love you.」を明治時代にどのように訳されたか、ご存知ですか?日本の文化で「愛する」という言語はあまり馴染まないものだったようです。二葉亭四迷が「あなたとならば死んでもいい」と訳したと言われています。実際には二葉亭四迷はそのように訳していないらしいのですが、この和訳に、なるほど、と頷いてしまいます。
この1年間、たくさんの方々にブログをご覧いただき、そして多くのコメントをお寄せいただき、ありがとうございました。心から感謝申し上げます。札幌に向かうANAのオーディオ番組でStevie Wonderの「I just called to say I love you.(心の愛)」が流れています。大好きな歌を聴きながら今年が終わりそうです。

コメント (10)

  • senri より:

    チャーコさん、明けましておめでとうございます。
    早速のコメント、ありがとうございます。
    いつも大好きな人のそばにいて、お互いを大切にできたら最高ですね。
    たとえ、遠くにいたとしても、それぞれの存在を大切に思えたら、と思います。
    今年もよろしくお願いいたします。

  • senri より:

    asukaさん、明けましておめでとうございます。
    さすがですね、asukaさんは。
    患者さんやそのご家族のことを常に念頭に置いて考えていらっしゃる。
    それでこそリハビリテーション医療に携わる専門家だと思います。
    今年も素敵なメッセージをよろしくお願いいたします。

  • チャーコ より:

    明けましておめでとうございます。いつも吉尾先生のブログみています。

    そば屋さんの植田塾私も行きたいです。年越しそば美味しいですよね。

    I love you、

    私好きですよ。

    仲間と友達を大切にしたいです

  • asuka より:

    あけましておめでとうございます。
    細かく反応するといえば、
    後半の「あなたとならば死んでもいい」という言葉から、
    脳卒中で身体的にも精神的にも重度障害を負った患者さんが思い浮かびます。
    ご家族の献身的な介護からは目の前の変わってしまった姿に囚われることなく、
    愛情を注ぎ続け、共に生きていこうとする強い意志を感じます。
    だから、「あなたとならばすぐに死んでもいい」ではなく、
    「あなたとならばずっと寄り添います。そして時が来たら側で死んでもいい」
    という意味に感じ取れました。
    そんな真剣な想いの方たちをしっかりと支援できる存在であれるように、
    努力を重ねて参ります。
    今年もよろしくお願い致します。

  • senri より:

    c.t.nさん、こんばんは。
    今年はc.t.nさんにお会いして、いろいろなことを考えさせられました。
    人の存在って大きいですね。とても大きな影響を与えます。
    それだけに自身の存在価値をきちんとしなければならない、と考えたりします。
    年越しは大好きな車内で、ですか。
    よい年をお迎えくださいますように。

  • c.t.n より:

    吉尾先生 こんばんは。
    今年初めて吉尾先生と直接お話することができました。その日に私が直接吉尾先生に言った言葉、覚えてますか?それを胸に抱いて歩んできた一年でした。私の中でその言葉を今年中にクリアしたいと思っています。
    意味づけされた偶然の様に思われることでも、理論的な背景があることも忘れてはいけないと考えます。

    人間って結構単純ですか。
    私は単純に靴が好きでジーンズが好きですし、ソバが食べたいと思ってお昼にソバをいただきました。それだけではないです。単純に理学療法士が好きです。そして好きなものは集めてしまうようです。そこには何かしらのきっかけがあってからこそだと思います。
    理学療法士になると決めて今日まで、今年は今まで以上に様々な方、そして色々なことばや想いに触れることができました。多くのことを受け取り、少しは改善できたかなと感じてます。
    この場で申し訳ないのですが、心から皆様に感謝を申し上げたいと思います。
    ありがとうございました。

    吉尾先生は札幌でゆっくりされていますでしょうか。
    私も車内で好きな曲を聴き、紅白でも大好きなうたを聴いて今年が終われそうです。
    よい気持ちで新しい年を迎えられそうです。

  • senri より:

    asukaさん、こんばんは。
    学会や研修会でも結構本音を出してはいますが、確かに限界はあるかもしれませんね。
    そういう意味ではこのブログに対して細かく反応していただいているasukaさんには心から感謝しなければ。
    この1年間、本当にありがとうございました。
    真に必然の発見であったと言えるような努力をさらに重ねていかなければと思います。
    期待に恥じないように、真摯に取り組んで、そしてメッセージを発してまいります。
    来年もどうぞよろしくお願いいたします。

  • asuka より:

    このブログから学会や研修会などでは分からない先生の人間性が伝わり、
    益々、先生の魅力に引き寄せられた1年でした。
    多くの課題を抱えながらも、いつも前向きで真摯に取り組む姿勢は、
    私に沢山の力を与えてくださいました。
    「偶然の発見」も先生の努力からなる「必然の発見」であったのではないかと
    感じてしまいます。
    今年1年も心に響くブログをありがとうございます。

  • senri より:

    aisakuさん、こんばんは。コメント、ありがとうございます。
    私も熊本の生まれですから、方言は大丈夫です。
    努力を惜しまず、前に向かって進めていきたいと思います。
    aisakuさんの行動力を参考にしながら、意味づけしたことを皆さんに表現していくようにします。
    と、心に誓っていますので、来年もよろしくお願いいたします。

  • aisaku より:

    そば専家は本日ばかりは「年越しそばしかせんか(しないかの方言)」というところでしょうか?
    臨床の偶然を検証し必然の作業にしていくことが、今後の神経理学療法の発展につながっていくことになるんですよね。10万人を超える会員の力をもってすれば、近い未来に学問化され患者さまの笑顔につがなる理学療法が提供できるようになると思います。
    その学問化されたものをどのように使用するかはとても重要ですから、学術だけでなく資質磨きが大事になると思います。
    最後に愛があふれる話をありがとうございます。二葉亭四迷の情緒ある和訳素敵ですね。私自身の名前にも負けないように、来年も自身を磨いていきます。
    良いお年をお取りください。

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