柏の木

20120127ロシア領事館前1月27日早朝-12度、自宅近くの札幌ロシア領事館前の通りです。雪山が前夜の内に見事に除雪・排雪されていました。もしかしたら、ロシア領事館があるから、と思っていらっしゃいませんか? いえいえ、違います。もうすぐ雪祭りだからです。この時期に毎年こうなるのです。だから、これから大雪が降ってもなんとか凌げます。いつかは融けて流れる雪ですから、排雪のためのお金はもったいないと言えばもったいないのですが、除雪・排雪でお金が動くことは経済活動からみれば悪いことではありません。
日中でも-6度という予報でしたから、大阪千里と比較すると随分な温度差です。私の服装は大阪と札幌とではほとんど同じ。手袋をするか否かの違いくらいです。人間の適応力は凄いですね。
札幌に向かうJRの車内で柏木さんという人に「吉尾先生」と声を掛けられました。とても熱い方、理学療法士でした。かなり以前の話ですが、夜遅く、千歳空港から札幌に帰るとき、隣の席で筋力テストの勉強をしている若者がいました。「理学療法士を目指しているの?」と声を掛けると、とても嬉しそうな顔をして「はい!」と答えてくれました。そのときの話を柏木さんにしましたら、「それは私です」と。あのときの若者が立派に成長して再び私の隣の席にいたのです。
柏の葉は秋に枯れますが、翌年の春に新芽が出てくるまで落ちることはありません。次の代になるまで枯葉を残したまま風雪に耐えるので、縁起物として重宝されています。若者たちが育つまでしっかり耐えて力を尽くさなければ、と思った瞬間でした。

コメント (25)

  • asuka より:

    吉尾先生、aisakuさん
    ありがとうございます。
    その患者さまはまだ前頭葉症状の日差が強いですが、徐々に回復しています。
    そのような方の高次脳機能障害の回復はまさに人が環境因子だと感じます。

    ハチャメチャな発言、行動もまだまだみられますが、
    ふっと覗かせるご家族への想いや溢れる涙に私の背中を押して頂いています。
    有り難い仕事だと感じています。

  • aisaku より:

    asukaさん
    これから患者さんにとって大事な時期に入りましたね、
    料理をしたいという動機が、その患者さまのモチベーションを高め、患者さまの自己実現につながることを祈っています。
    私たちがどこまで患者さんの人生を背負うか悩むこともありますが、人生を変えるきっかけになれるといいなって思います。
    明日からの臨床でぜひいい支えになってあげてくださいね☆

  • senri より:

    そうでしたか。asukaさんたちの奮闘を期待しましょう。
    私たちが自己実現を実感できるのも、そのような存在があるからですよね。

  • asuka より:

    実はまだ料理を楽しめていません。
    今は意識障害、重度注意障害から徐々に回復され、
    料理がしたいという意欲がようやくでてきたところなのです。

    今は長下肢装具でようやく歩行ができる程度で、
    本当に料理ができるかどうかは私たちの治療にゆだねられています。
    そう考えるとその人の人生を背負っているようで荷が重いですが、
    その人の笑顔のためにも努力しなければと自分を奮い立たせることができます。

    熱い生き方ができるのも、患者さまがいるからだと感じています。
    きっと先生もそうですよね。

  • senri より:

    asukaさんも熱い方ですね。素敵な生き方だと思います。
    料理は食べさせてあげたい人がいると作りたくなると言います。
    そのお母さんも料理を楽しめるようになれてよかったですね。

  • asuka より:

    お二人ともすてきなお話ですね。

    私の今担当している脳卒中の患者様も重度片麻痺、注意障害を抱えながら、
    買ってきたお惣菜を息子さんが食べないからと料理を作れるようになるんだと努力されている方がいます。
    私にもその腕を振るってくれると約束して下さいました。
    母は強し、ですね。

    病院で生活するためのリハビリではなく、社会に帰るためのリハビリなのだから、
    郷に入れば郷に従えで病院のルールにただ従うのではなく、
    私たちが患者さま一人一人の生活に歩み寄らなければいけないですね。

    こちらこそ、これからもよろしくお願いします。

  • senri より:

    aisakuさん、いい場面を見ましたね。
    その方はその階段を昇りきってご自身が存在していることの喜びを感じていらっしゃるのかもしれません。素晴らしいことですね。
    千里リハビリテーション病院の患者さんで股離断の方がいらっしゃいました。原因は震災復興を祈念して行われただんじりの祭での事故です。秋のだんじりの祭までになんとしても歩いて帰る、いや、祭に出るために走ることも、お酒を飲んで歩けるようになることもやり遂げる、ということで、チーム一丸となってやり遂げました。もちろん、病院でお酒も飲んで股義足を着けて酩酊歩行の練習もしたのです。素晴らしい生き様だと思います。
    いざ、本番の祭には担当のセラピストも声援に行ってきました。病院もフィールドに近づけようと思えばできないことではありませんね。

  • aisaku より:

    asukaさん
    素敵な発見ありがとうございます。
    私たち一人一人の力は微力かもしれませんが、少しずつ線としてつながり私たちにとっても障がいを抱えられた人にとっても素敵な世界に変化できるといいですね。

    吉尾先生
    今年のお正月に4点づえにSLBを着用した男性が100段以上ある階段を昇り、宇佐八幡宮(全国の八幡宮の総本山になります)に参拝している姿を見て胸打たれるものがありました。そこの奥さんは横で見守っているだけなんですが、毎年この参拝をすることが男性にとっての自己の証明になるのかもしれないと思ったときに、自分たちの理学療法のアプローチはこのレベルまで目が届いていなかったと反省させれました。
    やはり、答えは病院じゃなくフィールドに転がっていますね☆

  • senri より:

    aisaku & asukaさん、楽しい意見交換をありがとうございます。
    ブログでもこういう場が持てると楽しいですね。
    お二人の真摯な生き方が目に浮かびます。
    ICFでは環境因子の評価を求めていますが、今、目の前の患者さんたちにとって
    最も重要な環境因子は自宅の住環境等ではなく、患者さんの目の前にいるセラピストなのです。
    お二人のようなお考えや感性を持っているセラピストであれば救われますが、
    セラピスト自身に相当な治療プログラム(教育?)を考えないといけない現実もあります。
    患者さんやご家族という他者の人生に影響を与えていくためには自身をしっかりと律することのできるセラピストにならないといけないと思います。
    そのような気概を持つ医療職でありたいですね。
    これからもよろしくお願いいたします。

  • asuka より:

    aisakuさんへ
    沢山のコメントありがとうございます。
    近い遠いとは心の距離であり、
    肉親である家族でも介護が大変だからと始めから施設へという方もいれば、
    身寄りのない方のお隣さんが毎日お見舞いにみえる場合もあります。

    一時はどうしたらいいかわからなくても、
    その人のために何かしなければと本気で考えたら、
    本を読む、人に聞くなど何か行動が起きてくると私は考えています。

    > 全国の医療職が手を取れば不可能なことではないでしょうね。
    医療職同士を結びつけるのも、リハビリの概念であるチーム医療が中心になると思いますし、
    患者さまと家族や社会を結びつけるのもリハビリ医療の一つと感じます。
    まさに理学療法士は橋渡しの仕事ですね。

    追伸、
    よくみたら、aisakuさんは私のasukaにさらにi(愛)を加えた人なのですね!

  • aisaku より:

    asukaさん
    たびたびですいません。一言忘れてました。
    私たち理学療法士が、何かしてあげたいけど術がわからない人の橋渡しとして役立ちたいですよね。
    これを伝えておかないと、なんだか気持悪くて書き込みさせていただきました♪

  • aisaku より:

    asukaさんへ
    返信ありがとうございました。吉尾先生だけでなくこのように輪が広がり意見交換できることは素晴らしいですね。

    >例えばその障害者が自分の家族だったら対応策が分からないからといって手を貸さないでしょうか。
    そこは背に腹を変えられない世界(ちょっと極論かもしれませんが)もあると思いますよ。一概に遠いか近いだけではなく、必然性があるかないかも気付く、気付かないに影響するでしょう。
    患者さんのご家族にも最初から「対応できないから施設で・・・」なんて人も多いですし。
    また、何かしてあげたいけどどうしていいかわからないというご家族もよく職場でも見たりもします。
    私もよくわからないんですが、最後は表面上の動作だけでなく、頭の中はどう考えているかですしね。実習生なんかも何かしたいけど分からず右往左往する学生もいるくらいですし。そんな学生が本気で考えていないかというとそうでもない様子ですから。

    asukaさんのコメントにもあるように、生れてきてからの環境や対象となる方への情、その時の周囲の状況も深く絡まっていますからね。案外、患者さまの家族状況なんか社会の小さい縮小図かもしれませんね。

    本当の意味でのノーマライゼーションは遠いです。たぶん24時間テレビなんかで障がいを持たれている人を取り上げること自体、ノーマライゼーションの理念と外れている気もします。

    できることから少しずつですね。全国の医療職が手を取れば不可能なことではないでしょうね。
    なんだか長くなり乱文になりましたが、ご了承くださいね☆

  • asuka より:

    aisakuさんへ
    私にまでコメントありがとうございます。
    別類というのは極端な言葉でしたね。気をつけます。
    例えばその障害者が自分の家族だったら対応策が分からないからといって手を貸さないでしょうか。
    そんなことはないと思います。

    要は自分と近い存在が遠い存在かの感じ方によって
    本気で考えているか、関心を持っているだけか、一瞬気に留めるだけかの差があるのだと思います。

    同じ理学療法士でさえ様々な考えの人がいます。一般の方はなおの事と思います。
    私たちリハビリに従事する人が障害をもった人が住みやすい社会を作るために
    本気で考えて、行動しなければいけませんね。

    aisakuさんのような方がいらっしゃると思うと心強いです。

  • aisaku より:

    asukaさんへ
    >私の想像ですが一般の方々には同じ人間,同類としてではなく,
    >別類として見えているのではないのでしょうか.
    >ですから,「大変だなぁ,かわいそうだなぁ」という感情が生じても
    >自分がなんとかしなければという人は少ないと思います

    そうではないと思います。一般の方は気付いて入るのでしょうが、その対応策がわからないから、手を貸したくても貸せないのかもしれません。
    中には別類と思っている人もいるでしょうが、すべての人がそうではないでしょう。

    そんな意図ではないということは、いままでのコメント見ればよくわかりますが、老婆心でコメントさせていただきました。

    最後のコメントにある、社会づくり。大切ですよね。自分の身近な人から行っていき、そんな輪が広がればなって思います。

  • asuka より:

    では幼少の頃からよい経験や教育がされるような社会作りを私たちは行う必要がありますね。

  • senri より:

    asukaさん、こんばんは。
    関心を持つにせよ、行動するにせよ、幼少の頃からの経験や教育が影響すると思います。
    ゆとり教育は失敗しましたが、取り組むべき課題はいろいろあったでしょうにね。

  • asuka より:

    私の想像ですが一般の方々には同じ人間,同類としてではなく,
    別類として見えているのではないのでしょうか.
    ですから,「大変だなぁ,かわいそうだなぁ」という感情が生じても
    自分がなんとかしなければという人は少ないと思います.

    関心はあっても,行動するまでは至っていないことが多いと感じます.

  • senri より:

    asukaさん、おはようございます。
    私は専門的な目を持っていることで注意がそのように動くものに向きやすいと思っていました。
    街を歩く一般の方々にはそのような歩きはどのように映っているのでしょうか?
    その見え方がどうなっているのか、ちょっと知りたいですね。

  • asuka より:

    名古屋の雪も午後にはほとんど解けてしまいました.
    あっという間で余韻を楽しむ間もなく,残念でした.

    柏の葉,素敵ですね.
    あれだけ大きな葉で,全国でみられるはずなのに普段はあまり目にしていません.
    きっと目の前にあっても関心が薄いから目にはいらないのですね.

    障害者には普段関心が低くても町で特徴的な歩きをしていると目に入ります.
    そうすることで無意識に人々の関心が向くようになっているのでしょうか.

  • senri より:

    asukaさん、おはようございます。お久しぶりです。
    高度に発達した社会はややもすると物でうまく処理できるようにしようとしますが、
    本来ならばそこに関わる人間たちの心、つまりソフトが伴っていないと成熟した社会
    とは言い難いですね。まだまだ社会は、人間は障害を持った人々に関心が薄いと思います。
    と言いつつ、今年の高校の同窓会でそんなことを講演するように、
    と指示がまいり、ちょっと社会の変化に喜びも感じてはいるのですが。
    柏の葉、なかなか素敵でしょう? 
    ぜひ、実物もご覧ください。北海道から九州まで観ることができますから。

  • asuka より:

    こんばんわ.

    今晩は久しぶりに名古屋で雪が降り積もりそうです.
    そのためか慌てて帰る人もいました.
    名古屋の人は雪には適応できていないようです.

    脳卒中の患者様において何らかの影響でADL能力の回復が遅れ,
    できない状況が続くとそれに適応し,リハビリ意欲低下に繋がる場合もあります.
    その患者様は適応するしかないのでしょうか.

    人間は人の言動,行動などで一喜一憂します.
    負に適応しないためにも,先生のように温かいコトバをかけることが重要だと感じます.

    柏の葉のように障害をおって枯れたように見えても,
    新芽を出すまで耐える精神力を我々が与える事も大切だと感じました.

  • senri より:

    aisakuさん、こんばんは。いつもありがとうございます。
    そうですよね、私はまだ38歳でした。ということにしてあります。
    でも、不思議な縁ですよね。世の中狭いですよね。
    私は今回のような経験が多いように思いますが、それだけいろんな所をウロウロしている、
    ということなのかもしれません。環境に適応するしかないのです。
    もしかしたら、これが今でも38歳であることに貢献しているのかもしれません。

  • aisaku より:

    >若者たちが育つまでしっかり耐えて力を尽くさなければ、と思った瞬間でした。
    自分も部署の若い職員を見ているとそのように感じます。先生はまだそのようなことを思うような年じゃないはずですよ♪

    それにしても、毎日大雪のニュースを見ています。九州は雪はほとんど降りませんが、10cmでも積もってしまうと、あっという間に交通はマヒしてしまいます。
    やはり、患者さんの環境適応もそうですが、時々は経験しておかないと対応できなくなってしまうでしょうね。先生のご様子からも2~3週間に1回は環境に適応しないと適応できなくなっちゃうんでしょうか??

    いろいろな縁を大事にしたいものだと感じた先生のブログでした。

  • senri より:

    中井さん、こんばんは。いつもありがとうございます。
    個は様々。だからこそ個それぞれの多様性に対応できる能力が必要ですね。
    そのためには自身が多様性を持つことが大切だということ。
    そういう中井さんの多様性は凄いですからね。
    素晴らしいと思います。

  • 中井 より:

    多様性を持ち対応できる人に育って欲しいですね。

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