お先に

前回紹介した千里のさくら通りの桜の木のあの枝、今日327日、ご覧のとおり、一足お先に満開です。さくら通り全体としては現在チラホラ開いているくらいですが、この桜の木はこの枝以外まだ蕾は開いていません。不思議ですね。
私には誇らしげに“Excuse me for going before you.”と言っているように見えます。ちょっとした優越感というか、ゆとりというか・・・。

エレベーターに乗る時、他の見知らぬ人と一緒になることがあります。欧米の方々や日本人はエレベーターから出る時に「お先にどうぞ」と言うことが多いような印象があります。私も外国の方と一緒になった時は迷わず“After you.”と言うようにしています。お先にどうぞ、After you.という一言を出せるゆとりや思いやりを持てる毎日でいたいと思います。ときどきエレベーターのボタンの前に立っている人が、他の人たちにかまわずサッとエレベーターから出ていく場面に遭遇しますが、その負の余韻はその後しばらく私の心の中で続きます。些細なことではありますが、他者の平穏のためにも注意したいことです。
Ladies firstは先進国家のマナーの筆頭にあげられるかもしれません。高齢の方々に対する思いやりも多くの国でみられます。“Age before beauty.” Beauty、つまり女性よりも年齢の方が優先されますから、年輩のあなたがお先にどうぞ、という意味合いです。年輩の方なら誰にでも使ってよいわけではありません。電車の中で高齢の方に席を譲るかどうか迷うことはありませんか?私はときどきあります。席を譲る行為が周りに恥ずかしいということではなく、高齢と思われるその方が高齢者扱いされたことに嫌な思いをされるかもしれないと思うからです。でも、男女のグループ数名で電車に乗って席が1つだけ空いていたとき、グループの最年長の男性に「先輩、どうぞ」と勧めても嫌な思いをされることはないでしょう。

「ことば」は言わなければ相手には伝わらないでしょうし、言ったら言ったで必ずしも好意的に受け止められるわけではありません。とんでもない事態に発展することもあります。昨日のフィギアスケート世界選手権で、曲が流れ、いざ演技に入ろうとした羽生結弦選手に「ユヅー、愛してるー」と叫んだ女性グループの「ことば」は救いようのないものでした。
患者さんたちとの会話の中でも、不用意に使ったことばで不信を抱かせたり、精神的に大きなダメージを与えたりすることがあります。ことばは単なる音刺激であり、それをどう受け止めるかは相手次第なのです。相手の置かれている状況や環境、あるいは心理状態などによってもその受け止め方は異なります。現にことばを発しているその人の存在価値が相手にとってどうであるかによっても大きく左右されます。
思いやりのない自己中心的存在はリハビリテーションの領域にはそぐわないのです。改めて、自分自身のコミュニケーション能力について問い直してみたいものです。

コメント (11)

  • senri より:

    チャーコさん、こんばんは。
    親水公園は箕面市西公園と言うそうですね。私も以前、横を通ったことがありますが、桜も界隈に多く、また、運動公園でもありますから、チャーコさんも楽しめるかもしれませんね。
    いよいよ桜もきれいになりましたから、花見に出かけたいですね。

  • チャーコ より:

    吉尾先生、こんにちは。本当、仲間と桜見に行くのはいいですよね。私は桜ヶ丘に仲間居なくて親水公園へ一人で行こうと思います。仲間探し、自分から探しています。

  • senri より:

    箕面のNさん、おはようございます。
    やはり旧知の仲間と語り合うのは楽しいですね。いろいろご配意、ありがとうございます。
    次も楽しい会になりますように。

  • 箕面のN より:

    昨日はお疲れ様でした。神戸のMも誘いましょう。できれば大阪のMや神戸のNなども誘ってはいかがですか?初めのころの有馬の連中で近場でいてるやつを・・・

  • senri より:

    箕面のNさん、おはようございます。
    私には箕面のNさんは優しそうな顔に見えますけどねえ。私の印象は最初から今まで、その印象は変わりませんよ。私の場合、母に似て垂れ目ですから、迫力には欠けますね。
    そう言えばSさんもいかにも優しそうな顔立ちですね。お会いできるのを楽しみにしています。
    箕面は箕面5丁目界隈や桜ヶ丘等、桜のきれいな所が多いですね。
    新緑の滝道を歩いたことはありませんが、紅葉の新緑は私も大好きですから、いつか散策してみたいと思います。

  • 箕面のN より:

    桜といえば男はつらいよの江戸川の桜を思い出します。スクリーンいっぱいに移る桜きれいですね。そういえばうちにも1本だけ桜がありますが早咲きみたいでもう葉桜状態です。家の近くの親水公園はこれからが見ごろで休みの日は家族連れでいっぱいです。桜もいいですが、新緑の季節になれば滝道を歩くと気持ちいいですよ。機会があればSさんと一緒に滝道歩きましょう。

  • 箕面のN より:

    人間てまず第一印象に左右されてしまうんですね。吉尾先生のような顔立ちの人はそれだけで得をしていると思います。僕はどう見ても一見大きな体に威圧感のある顔を持っていますから、最初は患者さんに怖い先生だと思われてしまいます。少し付き合ってからなじんでもらう・・・てな感じです。

  • senri より:

    箕面のNさん、おはようございます。
    コミュニケーションの基本は胸襟を開いて、相手が話しやすい環境を作ることですね。自分の胸を閉ざしていては相手は話したくもないでしょうから。
    傾聴せず、一方的に言うだけ言って、後で何か問題が生じたとき、「私は××と言ったじゃないですか。」ということをときどき見かけますが、これはいただけませんね。

  • senri より:

    チャーコさん、おはようございます。いつも読んでいただき、そしてコメントいただき、ありがとうございます。
    メイプルホールの界隈も桜がきれいですね。桜の花を見ていると日本人の気持ちは前向きになるようです。皆で桜を見れば、皆の心がひとつになって課題に向き合うことができるかもしれませんね。花見に行かなくちゃ。
    花見や運動会の席取りだけは「お先にどうぞ」ではなく、「我先に」という文化でしたね。

  • 箕面のN より:

    仕事上、話さないといけない場面はあるわけですが、まず、聴くことを倍以上かけるようにしています。そしてとにかく誠実に話す。それでも単なる音刺激ですから、ああ言わなきゃよかったなあという後悔はあります。難しいですねコミュニケーションをとるということは・・・

  • チャーコ より:

    こんにちは。いつもブログ読んでいます。吉尾先生、私もよくエレベーターや電車乗りますが、高齢者の方に席を譲ってあげたり、エレベーターでもお先にどうぞって言ってます。
    千里のさくら通りの桜の木でもチラホラ開いていますか。昨日箕面のメイプルホールへ中学校吹奏楽部定期演奏会に行く途中、桜の木が少し開いてる場所がありました。心をひとつに❤中学吹奏楽部定期演奏会でのテーマだったらしいですが、私も自分自身のコミュニケーション能力について問い直してみたいものです。

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