それぞれの事情

20101208セブ島

先週、フィリピンに行ってきました。セブとマニラです。セブ島に行きながら、仕事でしたから、観光は無しでした。セブ島のホテルのビーチから見た日の出だけが赤道の近くに来たという感覚にさせてくれました。ハワイもそうでしたが、椰子の木に絡んだ朝陽はなかなか素敵だなあと思って、カメラを構えたのでした。

フィリピンでは医療保険のシステムが未成熟であるため、病気になって急性期の病院に入院してもほとんどは数日だけで自宅に帰るのだそうです。収入が少なく、医療費を払えないからです。平均寿命も62歳くらいだそうですから、その厳しい状況は容易に理解できます。全国民の1割は外国に出稼ぎに出るという現実があります。

一方、日本の医療や健康の現状はフィリピンのそれとは雲泥の差があります。太平洋戦争直後は感染症が蔓延してかなりひどい状況でしたが、その後の努力でここまで好転してきました。人権に対する考え方が発展してきたことも、その好転に寄与していると思います。

しかし、現在のリハビリテーション医療に関わる保険システムには問題もいくつかあります。回復期リハビリテーション病棟の対象から外れた方々で、医療保険でしっかり解決しなければならない方々をしばしばみかけます。それは疾病の状況からやむを得ない事情もありますが、医療者側の事情によることもあるようです。国民の更なる健康を考え、それぞれの事情が言い訳にならないように、ますます精進していかなければなりません。

コメント (4)

  • senri より:

    maedaさん、ありがとうございます。
    今は身体を壊している場合ではありませんから、無理のない範囲で踏ん張りますよ。
    これからもよろしくお願いいたします。

  • maeda より:

    「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という世界…
    確かにそうですよね。

    今までの常識を疑う姿勢が必要かと思います。
    起き上がりの主動作筋は腹筋か腸腰筋か…
    僕は腸腰筋と習ったようで、そこでは躓きませんでした(笑)

    これも先生のご活躍の影響があってのことだと思われます。
    日本をはじめ世界各国をまわられ、
    お忙しいことと思いますが、お体を壊されませんように(^_^)/

  • senri より:

    前田さん、おはようございます。お久しぶりです。コメント、ありがとうございます。
    先週の和歌山の研修会にお越しいただき、ありがとうございました。直接、お声かけいただけたらよかったですね。
    改めまして、理学療法士としてのスタートをきられたこと、おめでとうございます。理学療法士になってよかったな、と思えるような臨床での良き経験の蓄積を期待しています。
    私たちの無知で、またそれを背景とした消極的な姿勢で患者さんたちの可能性が潰されたり、人生に負の影響を与えることは許されることではありません。
    「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という世界は返上しましょう。

  • maeda より:

    ご無沙汰しております。

    約一年ほど前に「小脳は凄い」というタイトルの先生の記事で
    コメントさせていただきました、前田です。

    あれから無事国家試験に合格し、理学療法士として働いています。
    先生の病院を訪れたいと思いながらも、
    慣れない業務・祖父の死・結婚の準備・週末の研修会などが重なり、
    バタバタと数カ月が過ぎ、頭の中から先生の名前が消えてしまいそうになっていた頃
    和歌山で先生の講演が開催されるというFAXが届き、先週参加させていただきました。

    やはり、頭に卵の殻を乗せて歩いているようなヒヨコですので、
    先生の講演はとても新鮮で、僕の心を奮い立たせてくださいました。

    あれから一週間、先生に教えていただいた治療法を、
    今まで長下肢装具を着けたことがなく、現在プラスチック型短下肢装具を装着しており、
    最近ではあまり改善が見られない患者様に適応させていただきました。
    すると、今まで膝折れの恐怖から非麻痺側下肢への荷重が中心であった患者様の
    麻痺側下肢への荷重量が増加し、蹴りだしの改善、姿勢の改善、患者様自身の歩行に対する満足感の向上が得られ。歩行の改善に伴い、消えかかっていた向上心に火が付き、
    患者様の目が再び輝きだしました。

    こうやって講演会などで学習し、新しい情報や治療法を提供できるセラピストと、
    提供できないセラピストでは、患者さんの環境因子が変わってきます。
    先生の講演会に出席していなければ、今まで通り先輩の意見に逆らえずに、
    改善の見られなくなった患者様に「プラトー」だと、
    先生の言う”烙印”を押していたのだと思います。
    この患者様は医師にも、これ以上の改善は難しいと言われていましたが、
    患者様に体力があることや歩きたいという意欲から、
    「僕だけはあきらめませんよ」と患者様を励ましていました。
    しかし、技術がないために医師の宣告した予後で在宅復帰させてしまうところでした。
    これから先、どれほどの改善が見られるのかはわかりませんが、
    全力で取り組み、せめて患者様の足を引っ張らない理学療法士でありたいと思います。

    椰子の木に絡んだ夕日でしたら、和歌山マリーナシティもきれいです。

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