ハビリス

リハビリテーション・ケア合同研究大会千葉2013に参加しました。

久しぶりに大田仁史先生のお話を伺いました。現在は茨城県立健康プラザ管理者でいらっしゃいますが、ご執筆やご講演活動も精力的になさっています。つい先日もTVでお顔を拝見したばかりです。
人間としてのハビリス(権利)、つまり「人間らしさ」がお話の基軸にありました。病気のどのステージにおいても「人間らしく」扱われる権利が患者さんたちにはあります。言い替えると、急性期では急性期のスタッフとして患者さんを人間らしくみていくこと、回復期では回復期のスタッフとして患者さんを人間らしくみよ、ということです。
まずは職場で専門職としての仕事をきちんとせよ。そしてPro Bono Publico、すなわち公共善のために、専門的知識・技術・スキルを活用して、地域のバリアを減じる役割を担え、ということでした。
障害を持った方々は自分の中から出てくる苦しみと、他人(社会)に苦しめられる苦しみを感じており、特に後者においては4つのバリア(物理的、制度的、文化・情報、意識あるいは心)を減じるように他者や社会が努力しなければならないということです。苦痛を感じている人が積極的に動けるはずもないのです。私たちの立ち位置と活動のあり方を考えさせられるお話でした。
人間には人格があります。人格的欲求があります。人間らしくありたいという欲求があります。手足が、ことばが不自由になったことで、人間らしく扱われなくなるという不条理はあってはならないことです。重度が故に回復期をみるはずの病院に断られるという扱いはリハビリテーションの理念に反する行為です。
リハビリテーションが対象にするのは身体的なことばかりではありません。診療報酬制度が身体的側面に重きを置くばかりに、リハビリテーション病院ではいつの間にか「心」を忘れた日常を展開するような傾向になっています。
大田仁史先生の今日のご講演を拝聴し、改めて重要なことを胸に刻ませていただきました。

1日目の終了後、千里リハビリテーション病院から演題を出した6名のスタッフと食事をしました。美味しいエビスの樽生ビールに話も弾みましたが、さらに話を加速させたのは佐賀のお酒「鍋島」の新酒New Moon。それぞれの人間らしさを楽しむことができたひとときでした。

 

コメント (4)

  • senri より:

    aisakuさん、おはようございます。
    先日は久しぶりにお会いできて嬉しかったです。癒し系のaisaku smileは格別でした。
    大田先生のようにその人の生きざまから発信されることばはやはり重いですね。
    私自身もこの世界で生きていく中で、そうありたいと思うのですが、なかなかです。
    どこかに足りないところがあって、いろいろな方にご迷惑をおかけしています。
    日々勉強です。

  • aisaku より:

    こんばんわ。
    千葉では大変お世話になりました。
    今日は当院で症例検討会がありました。OTの症例発表だったので、とても新鮮に聴講させていただきました。
    話題は患者さんの高次脳機能やガンリハに関してでしたが、どうも話の焦点が心身機能障害に偏っていました。
    その人らしさを考えていくと、もっといろんな視点でのアプローチができるはずなのにと思い、コメントさせてもらいました。
    私たちが関わっているのは「患者さん」ではなく「今を生きて、明日を夢見る人」なんだよってメッセージを込めて。
    大田先生や吉尾先生のメッセージを伝えてみました。

  • senri より:

    maimaiさん、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
    また、セミナーにもお越しいただき、とても嬉しく思っています。
    46野。セラピストたちはどうもうまく使えていないようです。
    感動が足りないのでしょうか。
    刺激しなければ。
    でなければ、人間がどこかに押しやられてしまいそうです。

  • maimai より:

    吉尾先生、おはようございます
    最近では、ご年配の方になればなるほど、患者様をちゃん付けで呼ぶスタッフ、○○してあげたじゃない、我慢してよーなんて思わず立ち止まって顔をのぞいてしまうようなことをいうスタッフもいます。
    ある先生もおっしゃっていました。人間としての人権をみんなは無視していないか、トイレに行きたい患者様に「おむつ当ててるんだからそこでしてください」、そんな対応はあるか、患者様の取り巻く環境・人権をもっと大事にしなさい。何のために起きるのか、立つのか、歩くのか。目的があるから行動するのだ、その目的を奪っておいて、起き上がり、立ちあがり、歩行練習なんておかしくないか。
    病院スタッフが、皆何のためにここにいるのかを、今一度考えなおさないといけませんよね。制度が厳しくなってきたおかげで、人員削減もされ、病棟もギリギリのスタッフで回さなければならいと、忙しさのあまり、自身の仕事が優先で、その合間に起こった出来事に対応できないのかもしれません。そもそも自身の仕事って、何なのか、ということですけれど。
    先日、先生のセミナーに参加させていただきました。注意・思考の転換、area46の活性化が大切ですね!
    二年前に三重セミナーの際には、先生はここが働かない人は頑固爺だなんて、おっしゃってました。
    そういう風にならないよう、柔らかい46野でありたいと思います。

    ジーンとしみいるブログでした
    ありがとうございました

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