閑不徹

平成最後の日になりました。平成天皇は恒久平和を願い、活動をしてこられたと理解しています。民間人が軍用で駆り出され、6万人ほどの方々が犠牲になられたという話は、機密事項であることを平成天皇が表に出された、という話も聞いたことがあります。これからも恒久平和を願ってぶれることのなかった平成天皇のように信念をもって生きていきたいと思います。
この4月に21名のセラピストが入職しました。1月ほど前に入職した者も含めて、徳島県で2泊3日の研修会を行いました。香川県三豊市にある先輩・橋本病院の新採用セラピストと合同の研修会で、4回目になります。
彼たちを一堂に集めて3日間過ごすわけですから、人となりがいろいろ見えてきます。とても積極的で名前を覚えるのが簡単であった者から、最後まで顔と名前が一致しなかった者までさまざまでしたが、総じて印象は悪くなかったように思います。とは言え、これからですから。課題から逃げずに、しっかりと取り組んでほしいと思います。
私の担当のセミナーでは毎年違った題材で話をします。昨年は松尾芭蕉の俳句から準備しましたが、今年は中国南宋時代の臨済禅僧・虚堂智愚の「雲在嶺頭閑不徹 水流礀下太忙生」を用意しました。漢文となると少々難しそうに見えますが、単純に読み取れば「雲は嶺頭に在って全く動かない。水は下の谷間を轟々と流れている。」ということになります。山の方に目をやると動かない雲がぽっかりと浮かんでいて、山の谷間の川に目を向けると勢いよく水が流れているという静と動の対照的な景色を詠んでいます。この対照性に捉われると、上と下とか、無駄なことをしない経験豊かな人とバタバタ動く新人というような教えを読み取るのかもしれません。しかし、この静と動との対照性には共通した何かを見出せると専門家は説きます。つまり、何事にも影響されずに雲は浮かんでおり、川も周りを気にせずひたすら流れていると解釈すれば、「信念をもってこうありたいと思うことがあれば、周囲に影響されずにそれをやり通しなさい」というわけです。
その中から「閑不徹」という書を35年ほど前に義兄雅久からいただきました。その頃はまだネット社会という時代ではありませんでしたから、自分なりに調べて、前述のように受け止めているのですが、そのように生きていくことは簡単なことではありません。でも、このレンゲのようにある程度環境には影響されながらもやり通せるようにはしたいと思っています。令和の時代になっても、です。

コメント (4)

  • senri より:

    asukaさん、こんにちは。
    HPを触ってから少々ブログにトラブルが生じていますが、早めに対処してもらいますね。ご不便をおかけします。
    確かに平成天皇皇后両陛下のあり方は学ぶべきものが多かったですね。開かれた皇室で、諸々のことが国民目線であったこと、お二人の行動は素晴らしかったと思います。お二人を拝見していると、レンゲの花言葉のように私たちの心も和みました。
    私たちの仕事のあり方にも反映されていかなければならないようなお姿でした。

  • senri より:

    チャーコさん、こんにちは。
    平成では地震や風水害などが多くて大変でしたが、令和ではそのようなことがないように祈りましょう。皆が幸せでありますように。
    5月22日のNHK・ガッテンに出場します。よろしかったらご覧ください。

  • asuka より:

    令和初日になりました。
    平成天皇といえば恒久平和を願い、活動されてきたこともそうですが、皇后美智子さまの存在も大きかったと思います。それまでの皇后は天皇から一歩どころか数歩引き、あまり表に出ることがなかった印象を受けています。平成になり、「天皇皇后両陛下」という言葉が定着するほど、皇后さまが天皇陛下に寄り添う姿は印象的でした。お二人の仲睦まじい姿がそのまま恒久平和の象徴のようにも感じられました。レンゲの花言葉は「心が和らぐ」ですが、女性ならではの視点で患者さんにとって前に進む勇気を与えつつ、心の平和を取り戻せるよう寄り添っていきたいと思います。
    私自身、平成で理学療法士になり、多くの人の影響を受けて今の自分があります。先生からも良い影響をたくさんいただきました。ありがとうございます。そして、今後ともよろしくお願い致します。

  • チャーコ より:

    こんにちは、吉尾先生。いつもブログ読んでいます。
    平成時代、今日で終わりですね。令和時代に変わりますが、どうなっていくだろうか不安です。
    4月に21名のセラピストさんが入職したのですか。頑張ってほしいですよね。
    私はいまだに千里リハビリの理学療法士さん、作業療法士さんを尊敬しています、

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